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創業120年の老舗が初挑戦「地球に優しいスイーツ」。醸造粕がオシャレに変身

ビジネス

あえてEC限定販売にこだわった理由

 開発やマーケティングにあたり「日の出みりん」という確立されたイメージから完全に切り離すため、あえて従来持っているルートは使っていない。イチから発信となった商品の、気になる評判や反響を聞いてみた。

「私たちが普段より扱っているみりんは、基礎調味料ということもあり、商品の説明をしなくてもその味や用途は十分に知れ渡っています。そこと比べると、やはり認知度はまだそこまで高くないというのが現状。売上的にもまだまだこれから……というところです。手に取ってくれた方からは、高い評価をいただいているのでどんどん発信したいです」(竹山氏)

 また、同商品は店頭で販売せずEC限定での販売だ。実は、この販売方法もキング醸造にとっては、かなり珍しいケースだとか。

「店頭販売の場合、商品は間に卸問屋さんや小売り店さんを挟む形で、消費者の皆さんに届きます。メーカー側としては、売り方や売り場のレイアウトなど直接的にはアクションせず、最終的なやり方をお店の方々に委ねていたわけです。EC販売だと、お客さまとのやりとりやメッセージ発信をダイレクトに行えます。私たちの考えやコンセプトを、第三者を通さずに伝えたいという想いから、今回はECに特化することに決めました」(竹山氏)

「職場に溶け込むお菓子」とは

キング醸造

バッグや職場のデスク、どこにあっても違和感のないパッケージを意識

 開発にあたり、社内・取引先、100人以上もの女性にヒアリングを重ねディテールを詰めた。特に現役の働く女性によるリアルな「職場のおやつ事情」は貴重な意見だったという。

「例えば、職場のデスクにお菓子の袋を置きっぱなしにするのはなんとなく憚られませんか? なので、パッケージは一見するとお菓子と分からないようなデザインにしました。現代に生きる女性の部屋やバッグの中にあって、あまり違和感のないものを意識したんです。

 サイズも、さっと食べられ、満足感のあるものに調整を重ねました。例えば、クランチの場合は職場で食べても音がうるさくない、絶妙な硬さに設計。現代の社会人にとって、最も時間を過ごすことが多い場所はやはり職場ですよね。なので、あらゆる面で職場にマッチしたお菓子を目指しました」(竹山氏)

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