ワタミに渡辺美樹氏が12年ぶり社長復帰、主力事業の失速で今後を読み解く
「ホワイト企業大賞」受賞には疑問符
参加費や審査基準については、「ホワイト企業大賞」公式サイトにも書かれています。要約すると、「応募したい意志があり、実際に参加費用を支払った企業」のみが選考の対象となっていて、業績などの数値指標は特に勘案せず、「アンケートや企業訪問」といった定性情報で判断されているということです。
したがって、業績や財務を受賞基準に入れていない「ホワイト企業大賞」はいくらでも結果が操作できてしまうので、鵜呑みにしないほうがよいでしょう。
また、2021年3月に「ワタミの宅食」にて、労使協定の残業上限75時間を超えていた社員がいるとして、高崎労働基準監督署から是正勧告を受けています。
本件については、当該内部告発者と、従業員との間で起きた訴訟についても報じられており、最終的にどちらの言い分が正しいのかわかりにくい状況も存在しているようです。とはいえ、2021年9月8日付で和解に至ったとのことなので、ひとまず収束したと考えて良さそうです。
ワタミ「ホワイト/ブラック度」判定
ワタミ:★★☆☆☆
2014年3月期以来、苦境に立たされている企業と言えます。労働環境のイメージはもちろんのこと、企業として最も重要な「業績」が回復の兆しを見せていない点が最も苦しいでしょう。
労働環境面については、基本的には業績が悪くなるほど労働環境は悪化しやすいと考えたほうがよいです。2008年の過労自殺の件はワタミの業績が「上り調子」だったときに発生していて、2021年3月に「ワタミの宅食」にて、労使協定の残業上限75時間を超えていた社員がいるとして、高崎労働基準監督署から是正勧告を受けていた件は「下り調子」の時に発生しています。
一般的に下り調子になるほど「たくさん働いて頑張って取り返そう」という精神論が蔓延しやすいのですが、ワタミの場合は上り調子でも下り調子でも「たくさん働け」という精神論が発生しやすい素地が残っているものと考えられます。
また、企業が最終的に評価を受けるのは「業績」です。仮に、2008年の時点よりも働きやすい企業になったといっても、その結果「業績」が上がるか、最低でも業績を維持できない限りは、営利企業としては従業員を守ることはできません。
事業で収益が上がっているからこそ、従業員に給与やゆとりある労働環境として還元できるからです。営利企業はその優先度を間違えてはならないと思います。
今回は、業績および各種ニュースを勘案して、最終的な評価は★2としました。
<TEXT/アラートさん(@blackc_alert)>