パナソニック“優秀な人材まで早期退職”事件を、笑える人はごく少数なはずだ
“最低限の結果を残した”とも言える
「大勢の正社員を抱えたまま毎月固定費を流出し続けながらビジネスを続けるか」「ある程度優秀層が流出するのを覚悟で正社員減を断行するか」というのは非常に難しい意思決定です。
もちろん、「やめてほしい人にだけやめてもらい、優秀な人だけに残ってもらう」というのがベストですが、そんなにうまくやれる会社はほとんどないでしょう。ニュースの表面だけ見ると、パナソニックの組織再編はお粗末なように思えますが、実はさまざまな苦慮の上、ぎりぎりで実施した施策なのだろうなと思います。
その結果、何はともあれ1000人の削減ができたということで、最低限の結果を残した、とも言えるのではないでしょうか。
どのようにキャリアを描くか?より深く考えるべき
パナソニックに限らず、正社員を大量採用していくモデルで成長してきた会社は、これから厳しい意思決定を迫られるはずです。また、働いている側の私たちも自分の適性や能力をどのように生かすか、より深く考えていく必要があります。
複数の会社から雇われて自分の専門性を高く売っていくのか、今の会社でパフォーマンスを出し続けて経営陣の一角になるのか、ある程度単価が高いスキルをつけてアウトソーサーとして働いていくのか、自分のアイディアと度量で起業するのか。
どれにも正解はないですが、少なくとも「なんとなく今の会社で言われたことをきっちりこなしていけばそこそこ幸せ」という過去のモデルは、すでにほぼ崩壊してしまったのでしょう。
難儀な時代ですが、その分自分自身で自由にキャリアを描ける幅が広がったともいえます。さまざまなニュースから、会社側はすでに「ただの正社員」をお荷物だと思っていることは確実ですし、残念ながらビジネスという側面ではそれは理にかなっています。それを受け入れたうえで、自分自身でキャリアを描いていきましょう。
<TEXT/戦略コンサルタント Shin>