売上1兆円マルハン社長「従来のパチンコをぶっ潰した」。業界を変える闘いを語る
従来のパチンコのあり方を全部ぶっ潰した
「人がまったく集まらず、再び現実を思い知らされました。だからこそ、絶対に社員が誇りを持てる会社に変えていかなければならないと決意を新たにしました」
潮目が変わったのは、平成7年(95年)7月7日にマルハンパチンコタワー渋谷(2016年に閉店)を開店した頃からだった。
「それまでのパチンコはギラギラのネオン、大理石風タイル張りの店内がほとんどでしたが、ハードだけでなく、今までと見た目も異なるフラッグシップ店を作りたかったんです。従来のパチンコのあり方を全部ぶっ潰して、社員教育や標準化を行い、改革のひとつの証として『200店舗』『売上高1兆円』いう分かりやすい目標を全社員に共有しました。
次第に、変化に適応できなかった社員や新たな方針に共感を見出せなかった社員は自然と去っていきました。社内だけなく採用でも『この会社は変わりそうだ』と期待されるようになったのを感じました」
原点は高校野球。“描く力”を大切に
2005年に目標だった売上高1兆円を達成。2008年からは代表取締役を務め、現在はパチンコホールだけでなくゴルフ場、レストランなどを展開するアミューズメントレジャー企業に成長し、海外では金融事業も手掛ける巨大グループとなった。
厳しい現実にもめげず、強い信念を貫き通せたのはなぜなのか?
「原点は高校野球ですね。甲子園出場という夢を描き、実現するために努力した。会社に入ってからも“描く力”を大切にし、『こういう会社を作りたい』と小さな一歩を積み上げてきただけなんです。夢を描き、挑戦する。やっぱり、夢を追いかける人生のほうが楽しいじゃないですか」
<取材・文・撮影/中野龍 写真提供:マルハン>
【韓裕】
マルハンの代表取締役東日本カンパニー社長。1963年京都府生まれ。京都商業野球部在籍時、第63回全国野球選手権大会では準優勝を経験。1990年株式会社マルハンコーポレーション入社、取締役に就任。1995年プロジェクトリーダーとして「マルハンパチンコタワー渋谷」をオープンし、成功へ導く。取締役営業統括本部長、常務取締役営業本部長を経て、2008年6月代表取締役に就任、現在に至る