ズル休みしてアイドルに会いに…28歳男性が趣味のせいで仕事を辞めるワケ
口が軽くて有名な職場の同僚に出会って…
「目が合った瞬間、全身の血の毛がサーっと引いていきました。Iさんは明るい人ですが、とにかく口が軽くて有名。女性社員のあいだでは、トラブルメーカーと言われていたんです。『小茂田さん』と声をかけられ、焦りで嘘もつけず、会社をサボってライブに来たことを言ってしまいました」
Iさんは、「そういうこともありますよね。私も、ときどき嘘をついてサボっちゃいます」と言ってはくれたそうですが、会社をサボったという罪悪感が重くのしかかります。そして、ライブに集中することもできず、翌日からはIさんの視線にビクビクするようになり、イベント以降は職場で生きた心地がしなくなったそうです。
「その後も何か言われたわけではありません。でもときどき、Iさんがアイドルの話なんかを振ってくるようになったんです。それもあって、Iさんが他の社員と話しているのを見かけると、僕が仮病を使ってライブに行ったことを話しているのではないかと思うようになりました」
職場に親しい人がいなかったため、Iさんが自分のことを話しているのかどうかも確かめようがなく、不安はさらに大きくなっていきます。そして、Iさんが夢にまで出てきてニヤニヤと笑うようになり、自責の念に耐えられなくなった小茂田さんは、ついに自主退社。
後悔と罪悪感に苛まれる日々
「『それぐらいで自主退社するなんて』という人もいるかもしれません。でも、僕にとっては人生初のサボリだったこともあり、Iさんに会った時点から退社するまでずっと、『どうして会社をサボってまでイベントに行ってしまったんだろう?』と自分を責め続け、罪悪感に苛まれて消えてしまいたいとさえ思ったこともありました」
すぐに再就職できた小茂田さんですが、給料も減り、残業や休日出勤も多い会社だったためイベントに行けない日が続きます。すると、アイちゃんに手紙を書いても返事が来なくなったのだとか。
「3年以上経ついまも、仕事より趣味を優先させてしまったことを後悔する日々を送っています。本当に、自業自得です。どんなに楽しい趣味でも、趣味は趣味。禁止されていることやダメなことを破ってまで楽しんでいると、いつか僕みたいに天罰が下るかもしれません」
趣味には心やカラダをリフレッシュさせてくれるよい面もありますが、ハマりすぎると、仕事や私生活を脅かしてしまう恐ろしい面も兼ね備えているようです。判断を間違えず、よい面だけを「いいとこどり」したいものですね。
<TEXT/山内良子 イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>