渡辺裕太が語る、今あえて徹&郁恵夫婦と「親子初共演」をする背景
意外と淡々としていた両親の反応
――裕太さんが参加する意向を示したときに、徹さんや郁恵さんはどんな反応を?
渡辺:これがねえ…なんにもないんですよね…(笑)。
うちの家族って、全員割と、自分の人生なんだから自分の好きなように、って思ってるところがあるんです。だから、父親も「おおついに! お前よく言ってきた! よし、がんばろうな!」といったテンションではなく、淡々と「おぅよろしくなっ」みたいな。母親もそんな感じで、特に感慨深いものはなかったですね、全然。僕も、もちろん一緒に出させてもらえてありがたいなとは思いますけど、それ以上は特に(笑)。
――両親と長男が共演することに対して、弟さんの反応は?
渡辺:特に(笑)。でも弟は今、父親と同じ劇団の研修生で、毎日稽古の日々を過ごしてるんです。結構静かなタイプで、じっくりいまお芝居を勉強しているところ。将来続けてやるかどうかはまだわからないですけど。でも、悩んでるでしょうね。このままいくのかどうか、いろいろと。
僕に相談? ないですね。やっぱり、弟は弟という人間であって、両親とも僕とも違いますし。それぞれって感じなんです、ほんと。
終わってから感慨深さを感じるのかも
――朗読劇はどんなお話なんですか。
渡辺:岡田惠和さんが本当に素敵な脚本を書いてくださったので、読みながら泣いちゃいました。
『家庭内文通』というタイトルなんですが、夫婦がケンカして、口をききたくないから家の中で文通を始めるんですよね。ニュアンスとしては交換日記かな。紙を介するからこそ書けるような。普段言えなかったことが次々に出てくる。僕も息子役として途中で登場するんですけど、息子との昔話も出てくるなかで、面白かったり泣けてきたりっていう展開になってます。
ケンカしてる時の、男性がくらう女性特有の言い回しってあるよねとか、でもそれが女性側の本音だし、男性は男性で、どう伝えていいかわからない時に、こう言うしかないよねっていうのが火に油を注いだり……。
僕はバラエティ番組やニュース番組のリポーターもやらせていただく一方で、やっぱり舞台に立つのは好きで。今でも、本番直前まで「なんでこんなことやってんだろ」って思ったりするんですよね。演出家の方には「お前ほんと下手だな」みたいにすっごい怒られるし、緊張するし、なんでやってんだろうって思うけど、でもやっぱり、お客さんの反応や終わった時の気持ちよさを味わうと、やめられないですね。
家族共演をしてこなかったとはいえ、周囲からよく言われてきたのは、いつまでも近くに親がいるわけじゃないから、一緒に何か作っておく、残しておくっていうのは大事だよ、ということ。そういう意味では、あ、やっとできたかな……という感じはありますね。稽古は気持ち悪いですけど(笑)、終わってから何か感慨深さを感じるのかもしれません。
<取材・文/吉河未布 撮影/山田耕司>
【渡辺裕太】
1989年生まれ。俳優、タレント。町田市を中心に活動する「劇団マチダックス」を主宰。レギュラー番組「news every.」「所さんの目がテン!」に出演。9月25日に東京・草月ホールにて「いまさらふたりでPart2 朗読劇『家庭内文通』」に親子3人で出演
Instagram:@yutawatanabe0328
Twitter:@pekeraporiizn