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三浦透子、カンヌ絶賛の出演作のオファーで「高級車に次々乗車しました」

暮らし

車の運転を通して違う人と触れ合う

ドライブ・マイ・カー

――車の運転からどんなことを感じましたか?

三浦:みさきはただ運転が上手いだけでなく、乗せている相手にとって心地いい空間を作れる人なのだろうと思いました。それは相手の心の動きに敏感で感受性が豊かでないとできない。

 あとは、彼女にとって運転するってどういうことなんだろうというのは、ずっと考えていました。ドライバーという仕事を通して毎回違う人と触れ合うことが、彼女の世界を広げてくれた。物理的な距離だけでなく、いろんな意味で“遠く”に連れていってくれたのかなと感じました。

 そんななかで、これまで仕事で出会った相手に対して、おそらく何か思うことがあっても、実際に口にしたり、言葉にしたりすることはほとんどなかったであろう彼女が、家福さんに対して踏み越えた一瞬があった。自分にしか言えないことがあると感じたのかなと思います。そして結果として、彼女の人生も変わることになります。

人との距離の詰め方に共感した

――みさきは、言葉数の少ない女性ですが、人との距離の詰め方など、共感や尊敬する部分があったと聞きました。

三浦:私とみさきの人生は全く違うものですが、私も今の仕事を5歳からやってきて、いろんな人に出会って、時には傷ついたり、思ったように伝えられなくて誤解されたりしたこともありました。

 彼女が人との距離に敏感なのは、私が子どものころに大人との触れ合いで経験したのと同じように、人とのコミュニケーションのなかでうまくいかなかった悲しい出来事が関係していると思います。

 でもそれを経て、人に対して敏感に、感受性豊かに向き合えるようになった自分を、みさきは肯定している気がしたし、私もそうした自分が嫌いじゃない。みさきはとても優しい人だと感じますし、仕事に対する姿勢もかっこいいと思います。彼女を通して、私も自分を肯定できたし、彼女を素敵だと思えるということは、私もこのまま進んでいいのかなと思えました。

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