デビュー50年の小柳ルミ子が、若者に伝えたい言葉「全員に好かれるはずがない」
「お世辞」も言えないから誤解された
小柳:私は、人と関わる時に何か思うことがあったら、陰ではなく直接言うんです。それがいちばんの親切だと思うの。だって、その人のことを思うから言うわけですから。ただ、裏を返せば、お世辞も言えないということ(笑)。だから、誤解されてもきましたね。
でも、全然知らない人、会ったこともない人からの誤解とか、「本当は違うのにな」ということなんて、全てスルーです。いちいち気にしていたら、きりがない。それこそ、芸能生活51年のなかでどれだけバッシングを受けてきたか…(笑)。
全員がわかってくれるなんて「期待しない」
――もっともバッシングを受けたのは2000年に離婚した時。「慰謝料1億円」報道が連日ワイドショーを賑わせ、さまざまな憶測が流れましたが、「反論しない」というポリシーを貫きました。
小柳:だって、火に油を注ぐようなものですから。何か言いたいことがあったとしても、そもそもみんなが納得してくれるなんて、期待しない(笑)。今は、SNSの誹謗中傷でいろんな事件が起きているけれど、100人いたら100人の考えがあるものなんです。みんなが好意的であるはずがないの。ありがたいな、嬉しいなっていう意見だけ受け取っておけばいいんです。
何を受け取るか、何をスルーするかも、自分の判断ですよね。人に判断を委ねても、その結果自分に返ってくる責任はなくならない。人生には選択がつきものですが、結局最後は自分が選んでいくしかないんです。指示を仰がないと動けないんじゃなくて、自分はこう思うっていう意見をきっちり持って生きる。そうすることで責任が生まれるし、成長できるし、結果楽しい世界が広がるんじゃないかしら。
もう這い上がれないっていうくらいの苦しみを経験すると、人に優しくなれるし、逃げないで生きる術をおぼえるものです。苦しみの後に、自分がひとまわり大きな人間になることを考えたら、苦労するのも悪くないって思える日がきっとくる。それぐらい、生きるって大変なことだと思っています。これまでの人生を今振り返ってみて? うん、「悪くない」ですよ。