小柳ルミ子、不確かな未来より確かな今「人生はベストを尽くす積み重ね」
好奇心に垣根はない
――好奇心旺盛といえば、ブログでは、セブン-イレブンやユニクロ、プチプラコスメが大好きなど、“庶民的”な日常も垣間見えます。
小柳:本当を言うと、そういったことをブログに載せるのは、最初はちょっとどうかなあ、大丈夫かなあ…って抵抗や迷いもあったんです。でも、ある時、友人に、私がコンビニで納豆買ったとか、ラーメン買ったとかいう“日常”がいいのよって言われて、恐る恐る載せたら、読者の方にすごく喜んでもらえて。
好きになるのにブランドとかプチプラとか、関係ないんです。昔は安いものは安かろうで、品質的にもよくなかったので、敬遠していた時代もありました。でも今は、安くても商品としてのクオリティが上がってきたので、ブランドかプチプラかの垣根はまったくないですね。
年齢の壁も全然ありません。もちろんブランドものには相応の良さがありますが、中高生に人気があるようなコスメ売り場も大好きで、行くとワクワクして大変なんです!
――ハマったら追求してしまう性分。何も考えない「オフ」の時間ってありますか?
小柳:オフ…………(考え込む)。私の場合、ひょっとしたらずっとオンなのかもしれない(笑)。 “疲れる”とかないんですよ。オフモードが壊れてるのかな!? むしろいろいろ調べたり考えていたりするほうが楽しいし、日常です。することをしないで寝ちゃったほうがストレスになる。オンで走りながら、どこかでちゃんとリラックスしているんでしょうね。
不確かな未来より確かな「今」を大切に
小柳:とはいえ、凹むことはありますよ。まさに昨年、引退を考えた時がそうでした。でも私は、このコロナ禍という未曾有の事態を経験しているのも、意味があると思っているんです。
コロナ禍だからこそ、いろんなことがあぶり出されましたよね。私自身、まさか自分が引退を考えるとは思いませんでした。でも奇跡的な人の縁、言葉によって思いとどまるという経験をして、芸能生活を続ける希望も実感しました。
コロナによって、命の大切さだとか、自分にとって大事なことや大切な人、どうしても必要なこと、っていうのがシンプルに明確になりました。もちろん、大災害のために備えておくのも大事ですが、「今」しか信じる現実はないんです。これから10分後だってどうなるかわからない。不確かなことより、確かな現実を大事にして生きていきたい。
人生は、今を大事に、ベストを尽くすことの積み重ね。いつか自分が死ぬときに、悔いはないわって死にたいから、これからも私はそうやって生きていきたいと思っています。
<取材・文/吉河未布 撮影/山川修一 撮影協力/山の上ホテル>
【小柳ルミ子】
1952年、福岡県生まれ。15歳で宝塚音楽学校に入学。首席で卒業後、芸能界入り。1971年に「わたしの城下町」で歌手デビュー、最優秀新人賞を受賞。『瀬戸の花嫁』『星の砂』『お久しぶりね』など代表作多数。最近はサッカー番組などでも活躍している。2021年4月21日、50周年記念新曲「深夜零時、乱れ心」を発売
公式ブログ「小柳ルミ子オフィシャルブログ」
Twitter:@rumiko2020