稲盛和夫に、池上彰…上司に薦められて「役に立たなかった」一冊
3位:『アルジャーノンに花束を』(10票)
超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代のバイブル。昨今ではマーケティングや人材開発にも役立つとしてビジネスシーンでも重宝されています。こちらについての意見は、
「上司からマーケティングの概念を学ぶのに役立つと言われて読んだが、特にビジネス本としての内容ではなかった」(34歳・女性・大阪)
「ドラマで興味がでて読んだ。仕事にも役立つ概念はあるかもしれないが、日本とアメリカでは、あまりにも一致しないと思った」(28歳・女性・千葉)
など、薦められはしたものの「ビジネス本としてはどうなの?」という意見が多かったです。それに、国によって文化が違うというのは自己啓発本にとっては致命的ですよね。
2位:池上彰さんの本(11票)
テレビではひっぱりだこの池上彰さん(67)ですが、もともとNHKの社会部記者、ジャーナリスト。今は作家として数多くの本を出版しています。彼の本が役に立たなかったという方の意見としては、
「上司から『世界情勢に詳しくなるためにこれでも読んでおけよ』と言われて、池上さんの現代史を学ぶ本を渡されたのですが、そもそも業務に全く関係ない現代史について学ぶことに意義が見いだせず読まずに終わった」(29歳・女性・東京)
「課長に池上彰さんの本をオススメされて読んだ。しかしその後、何の感想も求められず、それについて一言も聞かれることはなかった。あの話なんだったの? たいして役にも立たなかったし、私の時間返せよ!」(31歳・男性・東京)
など、上司に勧められて読んだものの、実務に役立てることができなかった人が多いようです。
さらに本の内容ではなく、無理やり薦める上司にうんざりという声も。これは池上さんちょっと可哀想ですね。
1位:『夢をかなえるゾウ』(15票)
200万部を突破した作家、水野敬也さん(41)のベストセラー。主人公は「人生を変えよう」と思っているけど、何も変えられない普通のサラリーマン。
そこへある日突然、ガネーシャというゾウの姿をした神様が現れます。主人公とガネーシャの漫才のような掛け合いで、「成功するためにはどうしたらいいか?」「そもそも成功とは?」という自己啓発書のメインテーマを説いていきます。
しかし、「役に立たなかった」という声がもっとも多く寄せられてしまいました……。
「一般の生活をしているある青年が突然ガネーシャという名前のゾウの姿をした神様が現れるのだが、今さらこんなファンタジー読んでもなぁ……。残業なしになるわけでもないのに」(28歳・愛知・女性)
「誰かの助けを得ないと成功せず、現実的に「夢をかなえるゾウ」のように親身になって助けてくれる人はいないから」(39歳・男性・千葉)
「流行ったときに読んで影響を受けたが、仕事でいろいろあった今になって『絵にかいた餅』だと思うようになった」(46歳・男性・兵庫)
物語の、どこか現実離れしているところが自分には合わなかったという人が多いようです。もちろん、それが「読みやすい」と、多くの読者を掴んだので、決してマイナスな面だけではありません。
ほかに少数意見として、
・『入社1年目の教科書』
「新入社員の一般化に過ぎず、何も得るところがない」(27歳・男性・和歌山)
・『仕事は楽しいかね?』
「すごくいいと薦められたが、単一的で自分には疑問だった」(31歳・女性・福島)
「タイトルに煽られているようでムカつく」(27歳・男性・東京)
最後の意見は気持ちはわかりますが、イチャモンのような。
職場環境と、本の内容は必ずしも一致しません。夢物語だったり、話がうまくいきすぎだったり……でも、その中に共通点を見つけ、どの部分を生かすかが鍵になってくるのかもしれません。
あなたも自分にとって大事な一冊をぜひ探してみてくださいね。
<TEXT/yamashitam 調査協力/リサーチプラス>
【調査概要】
調査内容:リサーチプラス「上司に勧められて役に立たなかったビジネス本」
調査期間:2018年7月20~21日
調査人数:20歳から49歳の全国の男女100人(有職者)