コロナ病棟の看護師が語る闘い「同業者からも冷たい言葉が」
コロナ患者の対応が曖昧なままスタート
都内の総合病院で働く女性看護師Mさんは、2020年3月に現在の病棟へ異動した。コロナ患者受け入れ専用の病棟へ変わると告げられたのは、その2週間後。ただ彼女の病棟では、感染対策が他の病院よりも甘かったそうだ。
「どこの病院でも、コロナ対策には手袋、N95マスク、防護服、アイガードを必須にしているはずなんですけど、私の病棟では『サージカルマスクとビニルエプロンで対応しましょう』と言われたんです。N95マスクの装着が必須になったのは、変異型のコロナウイルスに感染した患者が入院してからでしたね。正直言って、なんで他の病院と対応が違うのかわかりませんでした」
そんなMさんをさらに困惑させたのが、都から支給された感染対策用の資材だったという。マスクや防護服、手袋などが支給されたが、すぐに薄さや性能の劣化に気付いたと語る。ただ上司からは「いまある資材よりも先に都から支給されたものを消費してほしい」と言われたそうだ。
防護服はビニル製ではなく紙製
「MADE IN CHINAって書いてありましたね。とにかく手袋は薄くてやぶけましたし、防護服はビニル製ではなく紙製でした。マスクくらいはN95が送られてきているだろうと思ったら、N95マスクよりも性能は劣るけどサージカルマスクよりはマシみたいなものが送られてきていて。全国の病院で資材が足りなかったので、贅沢は言えないなと思ってはいましたが、本当にこれでコロナ病棟として機能していけるのかすごく不安でした」
本当にこんな緩さで、患者も自分も感染から身を守れるのか。そんなストレスを抱えながら働くMさんに追い打ちをかける出来事がこの後起こったという。