コロナ病棟の看護師が語る闘い「同業者からも冷たい言葉が」
新型コロナウイルスの影響で、離職や異動、他病院への転職をした看護師は少なくないだろう。離職率だけを見ると、2020年の正規雇用看護職員の離職率は11.5%(前年度10.7%)と増加傾向にある。そしてその要因のひとつには、コロナ禍で受けた苦労などが挙げられているという。
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彼らはコロナ禍でどんな苦悩の日々を送ってきたのか。今回は、コロナ専用の病棟で働いていた看護師と、いまも働き続ける看護師の2人に話を聞いた。
配属先がいきなりコロナ患者専用の病棟に
「患者の病室に入るときは、防護服を着て手袋、N95マスク、キャップ、アイガードをつけるんですが、その作業を毎日20~30回繰り返さないといけなかったんです。もちろん自分が感染しないためには大事なことだとわかっていたけど、すぐには慣れませんでした。休憩の時間も感染リスクが高くなるからという理由で、休憩室に2人以上滞在するのはNGでした。会話も原則禁止です。仕事の相談すらまともにできなかった。一気に閉鎖的な空間になったなと感じました」
神奈川県内の病院で働く男性看護師Uさん。彼が配属された病棟は、ある日突然、コロナ患者の受け入れ先になったという。もともと、さまざまな疾患を持った患者が入院しており、夜間の緊急入院も、彼らがほぼ受け入れていたため、ある程度のことは柔軟に対応可能な病棟ではあった。
ただ、まさか自分たちがコロナに感染した患者を受け入れるとは思っていなかったという。
ノイローゼになるスタッフもいた
「初めて看護師長から話を聞いたときは、とにかく怖い気持ちでいっぱいでした。最初にコロナの患者さんがうちにきたときは、いまでも覚えています。『そのうち自分も感染するんだろうな……』という思いが頭を駆け巡りましたから」
看護師たちに精神的な疲れが見え始めたのは、コロナ専用病棟として稼働し始めて2~3か月経ったころ。いままでとはまったく異なる労働環境に「ノイローゼになるスタッフもいた」とUさんは語る。
コロナ患者専用の病棟になり、変わっていったのは労働環境だけではなかった。長期入院に加えて隔離を強いられる患者の様子も変わっていったという。当時の様子をこう語った。