日本と海外の美容院で働いた女性、働き方と“給料の安さ”に驚いた
スペインで働いて困ったことは…
「スペインにおける美容師の社会的地位は、日本に比べ低いと感じますね。日本だと美容師は国家試験に受からないとお客様をカットすることができませんが、スペインでは、免許がなくても誰でもカットができてしまう。そもそも美容師の国家試験がないですから」
その影響か、職人としての意識が低い美容師も多いのだとか。収入も日本で働いていたときの半分ほどだと言います。
「給料の安さには驚きました。ただ、日本に比べて物価が安いし、出費が少ないですね。『ついついお金を使ってしまった』となる場所がない。コンビニとかないですし。日本円で15万円くらいの給料ですが、悠々自適な生活が送れています」
スペインの地方チェーン美容室で働く
もう1人、文化の違いに驚いたエピソードを語ってくれたのが、スペイン人オーナーのもとで働く道井ゆきさん(仮名・30歳)。地方のチェーン店で7人のスペイン人美容師に囲まれ、パートタイムで働いています。道井さんは、同僚のスペイン人美容師の行動に、カルチャーショックを受けたそうです。
「日本では、シャンプーの時、お客様の耳に水が入らないように、細心の注意を払っていました。スペインで働きはじめたころ、スペイン人の同僚がとなりでお客様の髪を洗っていたんです。耳まわりを洗うときに、水が入ることなんてお構いなしで、お客様の耳に蛇口をあててジャバジャバっと洗いはじめました。お客様は何気ない様子で身を委ねていて。驚きましたね、ワイルドだなって(笑)」
シャンプー後、スペイン人の同僚に「あれは、大丈夫なの?」と尋ねてみると、「耳の中まできれいに洗ってあげないと気持ち悪いでしょ?」との答え。正反対の発想に文化の違いを感じたそうです。
「実際わたしも、スペイン人のお客様から『もっと耳の中まできれいに洗って』と指摘を受けたことがあります。こちらではこういう感覚なんだと割り切り、合わせるようにしました。それからは、耳の中を洗ってもいいか承諾を得てから、遠慮なく洗わせてもらっています」