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口座開設で1000円もらえる“Z世代向けネット銀行”に、プロが抱いた2つの懸念

コラム

 5月28日から、ツイッターにちょっとマルチの香りのする投稿が増えた。「現金で1000円振り込まれます。欲しい人いる?」。誰かが、名前、住所、口座番号など、個人情報を1000円で買おうとしているのかと思ったら違った。個人情報は何も教えなくていいというのだ。

スマホ

※イメージです(以下、同じ)

 新しくできた「みんなの銀行」の登録、つまり、普通預金口座を開いてくれればいいという。その時に、ネットに書かれた紹介コードを書き込めば1000円の現金が開設した口座に振り込まれるという。銀行の窓口に行く必要はない。すべてスマホ上で完結する新サービスだという。

 ちょっと調べたら分かった。確かに個人情報を登録するのはネット上の銀行のみだ。「みんなの銀行」は通帳もキャッシュカードもない新しいデジタル銀行で5月28日にオープンとあった

1000円入金キャンペーンがウケた背景

 ほとんどのことがスマホだけで完結する。印鑑を送る必要もないし書類も送らない。口座開設時に必要な本人確認書類も画像を送っておしまい。ただし、悪用をされないように一工夫がある。大抵は(本人確認書類の)表裏を求められる。みんなの銀行は、実物を確認する。マイナンバーカードなどの悪用防止のために、横の画像も確認する。ちゃんと厚みがあるところを見せる必要があるという。

 こうした本人確認書類が手元にあれば、手続きはすぐに始められて、紹介コードを入れて口座を開けば1000円課金されるのも本当だった。しかし、そして、やっぱり、思った通りだった。紹介者にも1000円課金される。そして、ちょっと驚いたのは、最高300人まで紹介できるところだ。1000円×300人=30万!!! 紹介で30万円まで課金される。

 みんな30万円欲しい。だから、SNSのツイッターなどで紹介コード付きで拡散されるわけだ。口座は15歳以上から開けるから、高校生でも最高30万円まで稼げる。もちろん高校生でなくても30万円は嬉しい

 この記事を書く前に、自分も口座を開設して、記事に自分の紹介コードを貼っておこうかなと思った。そうすれば、bizSPA!の心優しい読者が筆者の紹介コードを記入して読者は1000円もらえるし、筆者の自分にも1000円入るからだ。そうは思ったが、担当編集者が許すわけがないと思ってやめた。

地方銀行最大手の新事業だった

みんなの銀行

※「みんなの銀行」公式サイトより

「みんなの銀行」は、ふくおかフィナンシャルグループ(以下ふくおかFG)が設立したインターネット銀行だ。ふくおかFGは、福岡銀行、熊本ファミリー銀行などの親会社で東証一部上場企業。地方銀行では最大の資産を持つ。

 2021年になり、大手都銀の中にもペーパーレス、脱通帳化を推進するところが出始め、新規顧客からは紙の通帳1冊につき1100円の手数料を徴収するところまで出始めた。

 しかし、みんなの銀行は、ペーパーレスどころか、キャッシュカードもない。もちろん自前の店舗もない。取引はすべてスマホで、資金の出し入れは全国に支店網を持つセブンイレブンのセブン銀行のATMを使うことになる。キャッシュカードの代わりにスマホのQRコードをかざす。また、同時にJCBのバーチャルデビットカードがスマホ上に発行されるので、店舗などでの買い物の支払いもできる。

 友人同士、知り合い同士でのお金の送金はQRコードを読み取ってスマホからスマホに送れる。また、Box機能と呼ばれるものがあり、例えば、この金は旅行用、このお金は新しいサーフボードを買うための金と目的別にお金を積み立てたり、他行の銀行口座も含めた総合的な資産管理、家計簿機能のようなものもある。

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