所持金1万円で家出した20代女性も。急増する「若年ホームレス」の事情
困窮家庭から生まれる若年ホームレス
3人の若年ホームレスを見ればわかるように、いずれも家族との不和がホームレス化の一因となっている。その背景にあるのは、経済的問題だ。長年にわたって生活困窮者の支援活動を続けているNPO法人ほっとプラスの藤田孝典氏が話す。
「私どものもとにはここ半年足らずで2000人以上の方からSOSが寄せられていますが、その大半がネットカフェなどを転々として過ごしている10~30代です。彼らに共通しているのは出身家庭の経済的問題。両親は1970年代前半生まれの団塊ジュニア世代が多く、その両親たちが社会に出始めた時期は派遣労働者が増え始めた時期と重なる。不安定な雇用体系が一般化してしまったために経済的余裕がなくなり、子供に早期の自立を促す家庭が増えたと見ています」(藤田氏、以下同)
こうして家を追い出されてホームレス化した若者には、高齢ホームレスにはない特色がある。
「自立を促されてきたせいか、人や公的機関を頼ろうとしないんです。体を酷使して何とか貧困を脱しようとあがき続ける方が非常に多い。働くことをあきらめて公園などに定住する高齢者とは対照的です」
実際にはコロナ禍の影響もあって生活困窮者を支援する制度は多数ある。若者のホームレス化を防ぐためにも、支援制度を広報活動が求められる。
<取材・文/週刊SPA!編集部>