ただのスポンジが7億個のヒット!「台所の革命児」を生んだ2つの秘密
そんなある日、「売り上げを3倍にするイラストを描く自信がある」という絵描きが児玉氏のもとを訪れます。児玉氏は、その絵描きの絵を元にパッケージを一新、商品名を「キクロンA」と改めて、再スタートを切ります。
その当時珍しい「異国夫人」のパッケージイラストは人々の目を惹き、今でも「キクロンおばさん」として愛されています。
その後、同タイプ商品との価格競争が激化していきます。しかし、「キクロンA」はその価格競争には飲まれず、品質を保つことで、セールスを伸ばし続け、1960年の発売から累計販売数7億2500万個を突破するまでに成長しました。
“品質第一”人気を支える信頼と実績
現在では100円均一ショップなどでも手に入る「貼り合わせスポンジたわし」ですが、違いはこだわりの素材と独自の製造法にあります。同番組内での耐久性テストでは、低価格のスポンジの約2倍の耐久性があることを証明しています。
また、同社では、さまざまなサイズ展開の「キクロンAシリーズ」をはじめ、目的や用途に合った新商品を発表し続けています。
手強い汚れには、研磨粒子入りの「キクロンAシリーズ」「レボパワー」。ガラス、プラスチックやメラミンなど傷つけたくない食器には、柔らかいゴム粒子を使用した「レボソフト」など、他にも主婦の意見を取り入れ、手になじみやすいX型に窪みを付けた「クボミスポンジ」。
細かい部分の汚れを掻き出す起毛の付いた「クリナート」。容器の角が洗いやすい「コーナーショット」や、凸凹に対応した薄型タイプのものなどさまざまです。キクロン株式会社の原点となった、昔ながらの「しゅろたわし」も健在です。
今もなお愛され続けるロングセラー
ネット上では、番組放映を受けて、「キクロンA」に対する好意的な意見が多く寄せられました。
「キクロンAは子供の頃からよく知っている! よく落ちて、丈夫で長持ち!」
「飲食店でも選ばれているキクロン! その品質に納得です」
「番組を見て、家のスポンジを捨ててキクロンを買いに行きたくなった」
同タイプ商品に比べて高価格にも関わらず、高いシェア率を維持してきた「キクロンA」。まさに「台所の革命児」とも呼べる同商品には、謎の絵描きとの出会いによる名称変更など、意外な開発物語があったのですね。
<TEXT/上山ヨーコ>