中古スマホは本当に安心なのか?伊藤忠30代社員が設立「売買サイト」への思い
一旦はペンディングしたが…
井上氏が中古スマホ販売事業についての着想を得たのは、アメリカに駐在しているときだったそうだ。
「2014〜16年ごろ、私が東海岸のニューヨークに、一緒にBelongを設立したCOOの清水(剛志)が西海岸のシリコンバレーに駐在していました。現地のさまざまなスタートアップや新しいトレンドに触れるなかで、中古スマホのeコマースが伸びていることに注目し、日本でもできないかと考えるようになりました」
しかし、当時の日本はまだ分離プランがスタートしておらず、「1円スマホ」が台頭していた時代。また、メルカリなどのリユース市場も今のように広く支持される状況ではなかった。そのため、日本での中古スマホ事業は時期尚早だと考え、一旦ペンディングしたそうだ。
「帰国後しばらくは別の案件に関わっていましたが、数年すると先ほどお話ししたような中古スマホ市場を後押しする要因が大きくなってきたことを感じるようになりました。始めるなら今だと思い、会社を辞めて起業することも視野に方向性を検討するなかで、伊藤忠商事から全面的にバックアップするから一緒にやってこうと声をかけてもらい、社内ベンチャーとして進めることになりました」
最初は「手作り感満載」だった
今年(2021年)で設立3年目となる同社。売り上げに関しては順調に成長しているとのことだが、スタート当時は「手作り感満載」だったと井上氏は話す。
「親会社がB to Bメインの総合商社なので、個人向けのオンライン販売の経験はあまりなく、ウェブサイト作るところから手探りの状態でした。実は初月に売れたスマホは5台だけだったのですが、その5台を箱につめて宅配業者に連絡して出荷する作業も、検査を行うオペレーションセンターを立ち上げた際のセンター内で使う棚の組み立ても、すべて私と清水の2名で行っていました。
システム面でも、当初はエンジニア不在のなかでサイトを開発していたため知見も十分ではなく、作ったサイトが思い通りに動かないといったトラブルもあったそうだ。現在はGoogle出身の福井(達也)氏がCTOに就任したことで、安定した運用が行えるようになっているという。