先輩の「何が食べたいんだ?」に頭真っ白!よしもと芸人が語る“後輩飯の悩み”
マジで何でも良い!
しまった……。何でこんな重大なミスを。ごちそうしてもらえるという事で浮かれて思考停止してしまっていた。しかも僕は優柔不断な人間で物事を決めるのに凄く時間がかかるのだ。せっかく早起きしたのに着ていく服が決まらなくて、結局いつもと同じ時間に家を出ることになったり。
好きな子に何てLINEを返したらいいか悩んで2日ぐらい既読無視してしまったり。昼飯を悩み過ぎて食べる時間を失って熱々のラーメンを3分でぶち込んだこともあるのだ。
どうしよう! 決められない! マジで何でも良い! 何でも食べたい! 中村さんに決めてもらいたい!
中村さんがこっちを見ている。早く何か言わなければ!
中村さん「刺身〜!何が食べたいんだよ〜!」
僕「わぁ〜! 中村さんは何食べたいですか?」
中村さん「俺の事はいいよ!お前が食べたいもんだよ!」
くそっ!なんて男前なんだ!
僕「うわ〜! なんでもイケちゃいますね〜!」
中村さん「なんでもとか言うなよ! 遠慮すんな! 本当に刺身の食べたいもん言えよ!」
もう! 男前すぎ! 本当に何でもいいのに! どうしよう!
中村さん「ちょっとコンビニで金おろしてくるわ!」
中村さんがコンビニに入って行った。
ちくしょう! 僕とした事が。お手伝いの終わりかけで飯に行く兆候はあったのに! あの時から自分が何を食べたいか考えておけば! しかも中村さんがコンビニに入って僕に1人の時間を与えたと言う事は戻ってきた時には何を食べたいか決めなきゃいけない気がする。考えろ! 僕は何が食べたいんだ!
ハァハァ……ハァハァ! だめだ! なんにも思いつかない!! やばい! 中村さんが戻ってくる! 落ち着け! 落ち着け!
「瑞兆」のかつ丼食いたかったんだよな
中村さん「何食べたい?」
僕「ハァハァ、えっと中華以外でお願いします!」
中村さん「中華以外…?」
僕「はい。昨晩チャーハンを食べたので。」
中村さん「そうか! 中華以外だな! よし!」
よし!! 切り抜けた!! 消去法で中華を削る事で意思を示したぞ。中村さん決めてください!
中村さん「中華以外だな〜! いや、もっと絞れよ!」
僕「絞れ……?」
中村さん「もっと絞らないと! 米か、麺かで選べ!」
僕「ハァハァ……じゃあ麺で!」
中村さん「麺だな! どこの店がいい?」
僕「どこの店……? ハァハァ……あっ! 近くのホルモンつけ麺はどうですか??」
中村さん「俺ホルモンつけ麺、昨日、食ったんだよ! 麺なのか〜! 俺、瑞兆のかつ丼食いたかったんだよな。」
瑞兆(ずいちょう)は渋谷にある、カツがサクサクの美味しいかつ丼屋さんだ。名前を聞いたら、めちゃくちゃ食べたくなってきた。中村さんも食べたいし僕も食べたい。瑞兆だ! 瑞兆に決まり! 瑞兆にGOだ!
僕「瑞兆イイっすねぇ〜! 瑞兆にしますか!」
中村さん「なんでだよ! 麺が良いって言ってたろ! 無理すんな!」
僕「いや、僕、本当に瑞兆が…」
中村さん「刺身! ……お前が食いたいもんを食べるんだよ! 遠慮すんな!」
中村さん……。中村さんは僕が麺をどうしても食べたいと食べたいと信じきってる。
中村さん「よし! この後、ネタ合わせするならいっぱい食べたほうがいいだろ! 二郎系のラーメン行くか!」
僕「分かりました! へへ!」