神保町の行列カレー店が「1万5千円のコース料理と同じ気持ち」を一皿にかける理由
個性的なカレー店がたくさん集まっている日本屈指の“カレータウン”神保町。そんな神保町でオンリーワンな魅力を放ち続けているのが「洋食膳 海カレーTAKEUCHI(@yoshokutakeuchi)」。
カレーだけでなくハンバーグも看板メニューで、細やかなデコレーションがほどこされた一皿はアート作品みたいなんですよね。今回はカレー評論家の私スパイシー丸山が、アーティスティックなカレーのルーツやこだわりなどを店主の竹内智さんに聞いてみました。
ムスッとしていたお客さんの表情が綻ぶのは嬉しい
――今まで色々なカレーを食べてきましたけど、TAKEUCHIさんのようなアーティスティックなカレーには出会ったことがないです。
竹内智(以下、竹内):お客さんの喜ぶ顔を見ていると、もっとキレイにしたいなって思っちゃいまして。それがだんだん膨らんできて、これを乗せてみよう、あれも乗せてみようと(笑)。飾りとかその辺はエスカレートしてますけど、オープンから「鉄板とご飯とお味噌汁」というスタイルは変わっていないんですよ。
――オープン当初は普通の盛り付けだった記憶があります。
竹内:今のビジュアルのカレーは盛り付けていくうちに自然と生まれていったんですよね。彩りを気にするので同じ色を組まないようにしたり。あとは、やっぱり料理って季節感が大事だと思うので、道の駅とかで変わった色のカブとかビーツに出会うと創作意欲がどんどん湧くんです。
――細かい切込みを入れてくり抜いたりしてますよね。
竹内:型で抜くんですけど、遊び心を大切にしているんです。素揚げした野菜を乗せるだけじゃ面白くない。配膳されたカレーを見て、ムスッとしていたお客さんの表情が綻ぶのは嬉しいですね。
飾りの仕込みは3時間くらいかかる
――先ほど作っていただいた「煮込みハンバーグカレー膳」だと、お気に入りのビジュアルポイントはどこですか?
竹内:今日のだとアヒルの子供が3つ繋がっているところですね。イチゴもラブリーにハートになっているんです。あとはご飯の梅干しの上にもハートが乗っているんですよ。
――本当に細かいですよね! 仕込みがめちゃくちゃ大変そうですが。
竹内:飾りの仕込みは3時間くらいかかりますね。土曜日だと丸一日やっています。ニンジンはくり抜くと2~3日持ちます。なので、ずーっと抜いてます。その他にカレーを仕込んだり、総菜を作ったりしています。
型抜きも連打で抜けるやつと、1個1個抜いていかないといけないのがあって、細いものだと雑に扱うと折れちゃうんですよ。だから1個抜くと竹串みたいのでスッと押して。抜いたら押して抜いたら押して、そういう作業が続くとさすがに滅入りますね(笑)。