築109年のゼロ円古民家を再生。サウナもBBQもあるゲストハウスに
山奥の物件ならではの魅力も
土間や囲炉裏が残る、古きよき時代を感じさせる家屋、そして外の敷地には湧き水を溜めるための水槽と風呂小屋もある。
緑に囲まれ、眼下の多摩川のせせらぎに耳を傾けるうち、どんどんインスピレーションが湧いてきたという。
「旧青梅街道沿いの、かつての宿場町の情緒を残す馬の水飲み場がそばにあるから、ハイカーやライダーの集える拠点『立場茶屋』のアイデアが浮かびました。
家屋は茶屋兼ゲストハウスにして、外ではバーベキューやキャンプを楽しめ、サウナの後は湧き水の水風呂に入る。子供も楽しめるようなツリーハウスも造って……。さながら、森の秘密基地ですね」
町と二人三脚で再生を目指す
奥多摩町にはキャンプ場などのレジャー施設が点在するが、立ち寄って休憩できる場所が少なく、観光客が泊まりにくい。そんな弱点に悩む行政担当者にも、石居さんの計画は輝いて見えた。
「近隣の環境整備や雇用をはじめ、町の活性化計画を盛り込んだコンセプトを、町の定住課スタッフに見せたら大変関心を持ってくれました。メディア取材にも協力的で、二人三脚で進めています」
実際、記者が奥多摩町に接触した際も、石居さんに迅速に取り次いでくれ、意気込みを感じた。空き家を通じて、過疎の町も未来へ向けて変わろうとしている。
<取材・文・撮影/松嶋千春(清談社)>