元フジテレビ部長職の働くママが、再婚→離婚から学んだ大切な経験
1994年12月6日、フジテレビの報道記者でカイロ支局長だった夫を、取材中の小型飛行機墜落事故で亡くした、入江のぶこさん。帰国後は、フジテレビでバラエティ制作、フジテレビキッズなどを担当、女性部長職としてマネジメントも行った。現在は退職し、東京都議会議員として活躍中。
前回配信した記事<専業主婦からフジテレビ管理職になった私が「若者に伝えたいこと」> は、とある配信先で1000件以上のコメントが寄せられるなど大反響となった。しかし、その真意を改めて伝えたいという――(以下、入江氏寄稿)。
“濃い10分”の積み重ねが今につながる
前回の記事に対して、実にさまざまな反響をいただきました。特に「子どもとの時間は1日10分でも大丈夫」という見出しが誤解を与えてしまったのだと思いますが、もちろん私は「毎日、10分“だけ”接していれば大丈夫」なんて思っているわけではなかったのです。
ワーキングマザーは仕事から帰ってきても、ご飯、後片付け、お風呂、寝かしつけ、明日の準備……と息つく暇もないですよね? テレワーク中心の今だったら、お迎えをして帰宅後もメールが溜まっている、という状況かもしれません。
毎日、本当に忙しいから、多くのお母さんは「ながら作業」が当たり前です。だからこそ、1日10分でいいから「スマホをさわりながら」でも「洗濯物を畳みながら」でもなく、一切他のことをせずに、子どもと目と目を合わせて向き合う時間が大切だと伝えたかったのです。
知識も少なく、意思もそれほど強くない10歳ぐらいまでの子にとって、親は大きな影響を与える存在です。だからこそ、その時期は特に全力で向き合う必要があるというのが私の考えです。
夫を亡くした私にとっての「最優先事項」
そして、将来、自分の得意な分野で、自信を持って生き抜いていくために、その子には何が向いているのかを見極め、伸ばしていくのも親の役目だと考えています。
だから、1日の中で息子たちに集中して向き合う時間を持つことは、夫が亡くなり、仕事を始めた私にとっての最優先事項でした。
当時、息子たちと一緒に本を読んだり、絵を描いたりしながら楽しく過ごすと同時に、「この子が興味を持っているものはなんだろう」「何が得意なのかな」と観察していました。
ずい分、あとになってから知ったことですが、ふだんは忙しい母親と過ごす“濃い時間”は、息子たちにとってもかけがえのないものだったようです。その積み重ねで、特性を見極めることができたと思いますし、社会人となって好きな分野に進み、充実した生活を送っている息子たちの今につながっていると思います。
実際は帰宅後、わが子だけに向き合う時間を捻出するのは簡単ではないはずです。意識しないと作り出せない時間だからこそ、1日10分ならどうにかなるのではないでしょうか。大切なのは時間の長さではなく、濃さ、つまり向き合う親の集中力なのです。