急成長する紅茶市場。コカ・コーラが進める「脱・甘い紅茶」誕生秘話
ミネラルウォーター、スポーツドリンク、各種ジュース類……。清涼飲料水業界では、日々新たな商品の開発が続けられている。なかでも、紅茶市場は近年、需要が増加しているとか。その背景には何があるのか。
そして、今後どのような商品が展開されるのか。紅茶花伝シリーズを手がけている日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング本部 ティーカテゴリー 紅茶・機能性茶グループ グループマネジャー・山腰欣吾氏に話を聞いた。
紅茶は日常の飲み物になりつつある
「これまで、紅茶は休日のティータイムなどの特別なシーンに飲むものでした。それが日常的に飲むものに変化しつつあります」
“特別から日常へ”。これが山腰氏の紅茶需要増加の分析だ。
マーケティング事業を展開する株式会社インテージによると、紅茶市場は過去3年間(2018-2020)プラス成長を続けている。過去3年の伸びを平均すると年8%。購入者数の伸びは平均10%。一時のタピオカブームのような爆発性はないものの、堅実に市場の拡大を続けている。
さらに、1年に一度以上紅茶を購入するレギュラーユーザーは2018年には3828万人だったが、2020年には4134万人に増加。つまり一度試しに飲んでみるというだけではなく、定着も進んでいるということだ。
「特に2020年は、リーフ(茶葉製品)やティーバッグなどの手入れの紅茶が好調でした。購入量は前年比52%増です。コロナ禍ということもあって、家庭内での飲用が増えたのではないかと思います」
一方で、2020年の緑茶やコーヒーのリーフやティーバッグの購入量は20%程度の伸びだったという。もちろん、緑茶やコーヒーは紅茶よりももともとの市場が大きいため、簡単な比較はできない。それでも紅茶需要の拡大は顕著で、今後もさらに伸びる可能性があることは疑いようがないだろう。
紅茶需要の拡大の一因に「タピオカブーム」
ところで、なぜ今、紅茶の需要は拡大しているのだろうか。この理由として、山腰氏は「潜在的ニーズ」と「各社の商品展開」のふたつをあげた。
「実は日本で紅茶を嫌いな人は少ないと思います。日常的に飲む習慣がないので、飲まないという人は一定数いますが、それは嫌いとはイコールではありません」
そして、この潜在的ニーズを呼び起こすため、近年、日本コカ・コーラのみならず各社による商品展開が強められている。
「ここ数年で紅茶関連の新商品の発売が続いています。商品が増えたことで紅茶の売り場面積も大きくなり、お客様が紅茶を目にすることが増えました。これが市場が拡大している理由です」
また、2019年ごろから若年層の間で火がついた「タピオカブーム」も大きい。
「タピオカブームで紅茶を飲む機会が増えたことも大きいです。さらにコロナ禍で自宅での紅茶需要も増えました。ここに、潜在的ニーズに応える商品も充実してきたというのが、2020年までの市場拡大の構図です」