京大卒リーマンから『相棒』俳優に。山西惇の究極の選択「下北沢か、ハワイか」
『相棒』角田課長が生まれたきっかけ
――その3年後、2001年に「そとばこまち」を退団。そして、山西さんのキャリアに欠かすことができないドラマ『相棒』(テレビ朝日系)への出演が始まります。角田課長役はオーディションなどがあったのですか?
山西:いや、はじめからお声がけいただきました。
――角田課長といえば、欠かせないのが「ヒマか?」というあの名ぜりふ。
山西:僕は『相棒』プレシーズンの第2話からずっと出させてもらっているんですが、確か最初は「おう、特命さん、ヒマか?」だったと思います。それをリハーサルの時に普通にやったら、スタッフさんたちが大爆笑したんですよ。よく考えたら、特命係っていわゆる“窓際”じゃないですか。角田課長はそこにわざわざ「ヒマか?」って言いに行くんですよね(笑)。
「実はノンキャリアの星なんです(笑)」
――確かに(笑)! その一言で、課長のキャラクターが浮き上がってきます。
山西:僕は20年間、同じ役をやらせてもらっていますが、若手の刑事ではなく、最初から“課長”にキャスティングしてもらって本当に良かったと思っています。長い間、角田課長を演じる中で、役柄に自分の年齢が追い付いてきている感もありますし。最初にあの役と出会ったのは30代の時でしたから。
――そうか、30代で警視庁の課長って、角田さん、めちゃくちゃデキる人なんですね!
山西:そうそう、パンダのマグカップ片手に「ヒマか?」なんて言ってますけど、じつは角田課長ってノンキャリの星なんですよ(笑)。
<取材・文・撮影/上村由紀子>
【山西惇】
京都府出身。1981年、劇団「そとばこまち」を経て、舞台、映像で幅広く活躍。近年はドラマ「相棒」シリーズの角田課長役や、バラエティ番組でお茶の間でもお馴染みとなる。近年の主な舞台に『生きる』『七転抜刀!戸塚宿』『相対的浮世絵』『木の上の軍隊』ほか。2021年9~10月にこまつ座『雨』に出演予定。第27回読売演劇大賞優秀男優賞受賞