コロナで来客率90%減も。塚田農場に聞く「新たな事業」と「社員の救済策」
自宅での食事をワクワク感があるものに
いずれにしても、コロナ禍が終息しない限り、苦しい状況は変わらず、先行きも不透明と言わざるを得ない。そのような状況を、エー・ピーホールディングスはどのようにして乗り越えようとしているのか。
「宅配冷蔵便で商品が届く『おうち塚田農場 家飲み便』という居酒屋メニューのお取り寄せ事業を立ち上げました」
これは宅配便で塚田農場の料理を楽しめるもので、家族や仲間同士の会食や家飲み、オンライン飲み会などで利用する人が多いようだ。また塚田農場といえば地鶏。炭火焼などは人気メニューのひとつになっており、宮崎県や鹿児島県、北海道の各地で子会社がヒナを作り、契約農家が地鶏を飼育する独自のモデルで鶏を調達している。
「営業時間が制限されてしまうと、使用量の減少にともない、食材も行き場を失います。生産者の生活を守り、フードロスを減らすために『おうち塚田農場 産直便』という通販事業を立ち上げました。塚田農場で名物となっている地鶏炭火焼がレンジや湯せんするだけで食べられる“みやざき地頭鶏”の炭火焼セットをはじめ、鹿児島県の地鶏“黒さつま鶏”の丸鶏などを自宅で楽しんでいただけます」
「他社就労」で社員の働く場所を確保
コロナ禍が終息したとしても、以前のようにすぐに客が戻ってきてくれるとは限らない。「外食というスタイルが大きく変化している可能性もある」という野本氏。テイクアウトやデリバリー、お取り寄せなどの比重が今よりも大きくなっていることも考えられ、これらを活用した自宅での食事が外食と同じくらいのワクワク感があるものにするためにも、新たな取り組みを考え続けていくという。
また社員の雇用を守るための取り組みについても話を聞いた。
「昨年4月の緊急事態宣言の時からですが、副業を解禁するだけでなく、『他社就労』というアルバイト先のマッチング制度を導入しました」
他社就労とは、スーパーマーケットや宅配ピサ、物流系企業など、エー・ピーホールディングス社員のスキルを必要とする企業で働いてもらえるようマッチングする制度だ。店舗の休業などにより、働き場がなくなった社員の受け皿的な役割を果たしているという。それ以外にも1回目の緊急事態宣言時には社内向けのECサイトを立ち上げ、社員にポイントを付与し、食材を実質無料で購入してもらうこともおこなって、コロナ禍を乗り切る対策をしたそうだ。