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累計22.5億袋「カラムーチョ」は辛くなくなった?湖池屋に“噂の真相”を聞く

ビジネス

「カラムーチョが辛くなくなった」説の真相は、味覚の変化

湖池屋

 他方、カラムーチョが激辛スナック市場を牽引していく状況に対し、他社メーカーも負けじと追随するべくさまざまな激辛商品を発売してくるようになる。今では多くの激辛スナックが出回るなか、加藤氏は「後発で出てきた他社商品には、辛さの部分だけで考えると敵わない」と話す。

「よく『カラムーチョって味変わりました? 以前と比べてあまり辛くないと感じる』と言われるのですが、先ほどもお伝えしたように味付けはほとんど変えておらず、実はここ数十年で日本人の『辛さへの耐性』が変化しているんです

 激辛ブームが巻き起こり、いろいろな食シーンで激辛の味に触れることが多くなったことで、カラムーチョを食べてもそこまで辛さを感じなくなっている

 そのため、より激辛を求める消費者であれば、他社の出す商品のほうがニーズもあって、カラムーチョだと物足りなく思うかもしれません。ただ、辛いもののバリエーションが増えて普及すればするほど、辛いもの好きの間口が広がるので、パイオニアとしてその立ち位置をぶらさずにいることが大切だと考えています

秘伝の黄金比を崩すとヒットしない…

 とはいえ、時代の変遷とともに変わる消費者の味の志向やスナック菓子メーカー同士の棚取り合戦。常に変化や競争に晒される市況であるがゆえ、カラムーチョも期間限定のシーズナル商品や食品メーカーとのコラボ商品などを投入し、ブランド想起を図ってきた。そんななかで、悔しくもヒットにはめぐまれなかった商品について加藤氏に聞いてみた。

湖池屋

2014年発売の「カラくないカラムーチョ ノットチリ味」。今までにない試みだったものの、長続きしなかった商品だという

「『2014年に『カラくないカラムーチョ』という辛さを抜いた商品を出しました。これまでの激辛ではなく、真逆の、辛さをなくすことでコンソメのような“旨さ”を打ち出したことで、流通業者やお客様にとって一時期的な話題となり、初発は好調だったものの長くは続かなかった。

 翌年、リベンジを図ろうと今度はガーリックを抜いたカラムーチョを販売したんです。ガーリックの臭いが気になる女性のお客様からの声をもとに開発した商品で、これも発売当初は話題になりましたが、次第に売れ行きはあまり芳しくない状況で……。

 両商品とも結果的に『頭でっかち尻すぼみ』の状態になったわけですが、やはりカラムーチョの絶大なる“黄金比”の重要性に改めて気づかされました。変にいじっても、消費者には受け入れられない。黄金比を崩さずに、本来の味を生かすのが大切だと学びましたね。ただ、現在の辛旨進化の可能性を見いだせた商品でもあり、今後新たなチャレンジをする際のヒントになっております」

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