指輪は今も手元に残っている

　貴子さんからのメールには「他の人と結婚することになったから別れてほしい」と記載されていたそうです。ショックのあまり、電話をすることもできず、翌日メールの返信も返すことがやっとだったとか。

「できる限り手を尽くしていたのに、自分の何がいけなかったのか、眠れずに悩みましたし、苦しかったです。周囲へも説明しようがなかったですね。後から共通の友人に聞いた話では、彼女は私が海外へ渡った翌月には他の男のプロポーズを受け、承諾していたようです……」

　感傷に浸る間もなく、海外に居ながらにして親族や社内への説明に追われたという浩介さん。彼女から返却されたオーダーメイドの指輪は、処分に困り、今も手元に残っているそう。「本質を見抜けなかったことが失敗談でしょうか」と話す姿に胸が痛みました。

　今はまだ女性を信じる気になれないという浩介さん。いまだに新たな恋愛には踏み出せそうにもないそうですが、いつか素敵なパートナーが現れることを願うばかりです。

＜TEXT／七里美波　イラスト／デザイア恵利＞