盲目な恋のゆくえ

　しかし、そんなLINEをしていても、Mさんは仕事ではいつもどおり接してくれていまいた。その態度に川村さんは大きな勘違いをしてしまったのです。

「冷静に考えれば、仕事に支障が出ないようにMさんが大人の対応をしてくれていただけ。本当は僕のことを避けたかったと思います。それなのに僕は盲目になりすぎて、チャンスがあるからそういう態度を取ってくるのだと思い込んでしまったんです」

　さらに気持ちが盛り上がり、もっとアタックすればいけると思った川村さんは、より濃い内容のLINEを送ったり、送る頻度を増やしたりと、これまで以上のアプローチを繰り返しました。しかしある日、そんな川村さんの肝を冷やすLINEが届くことになるのです。

旦那さんから会社への訴え

　ある休日に川村さんが自宅で過ごしていると、突然見知らぬアカウントからLINEが届きました。不思議に思って内容を確認した川村さんでしたが……。

「LINEの相手はMさんの旦那さんでした。Mさんが僕からのLINEに迷惑していること、そしてこれ以上繰り返すのなら会社に訴えるということが書かれていたんです。情けないことにそのLINEで初めてMさんに迷惑だと思われていることに気づいて、僕はようやく冷静になることができました」

　冷静になった川村さんはこれまでのことを旦那さんに謝り、なんとか会社に訴えられることは免れました。しかし、同時にMさんが川村さんのLINEをブロックすることを旦那さん経由で告げられたのです。

「Mさんはそれ以降も共同の仕事が終わるまでは普通に接してくれましたが、その仕事が終わった今は、関係もなくなり、顔を合わせても避けられています。当然だと思います。本当にMさんにも旦那さんにも申し訳ないことをしたと、ずっと反省していますし、馬鹿なことをしたと後悔しています」

＜TEXT／つる＞