苦境の「かっぱ寿司」に聞いた生き残り策は“回転寿司屋からの脱却”
回転寿司の本格ラーメンが大ヒット
また、寿司ネタ以外のサイドメニューやデザートのバリエーションも拡充し、来店客の多様なニーズに応えられるようにしている。なかでも一番好評なのは2018年から始めた「本格ラーメンシリーズ」。“有名店の味を身近なかっぱ寿司で”をコンセプトに人気の飲食店監修のもと、リーズナブルな価格で本格的な味を提供している。
えびそば、家系ラーメン、煮干しラーメンなど、シリーズ12弾まで続いており、第1弾から第11弾までの累計販売数は実に780万食を越えるという。
「『本格ラーメンシリーズ』は2~3か月に一度のペースで展開しており、寿司好きはもちろんラーメン目当てのご来店も多いです。話題喚起としてのキャンペーン効果は高いと実感しています。サイドメニューそのものが『回転寿司チェーンだから許されるフォーマット』ゆえ、サイドメニューは重要視するべきです。
ただ、立ち位置や定義を決めておかないとあまりヒットしない。他社に劣らぬようにスピード重視のメニュー開発を行っていますが、そのサイドメニューが果たす役割は明確に意識しています」
予想を上回る反響の出張サービスも
最後にコロナ対応と、かっぱ寿司の今後を聞いた。牛尾氏は「今は耐え凌ぐ時期だ」と前置きしつつ、コロナ下での新しい取り組みについて説明する。
「テイクアウトニーズの増加に合わせてデリバリーを強化したのはもちろん、新鮮な海の幸を自宅で楽しめるECサイト『うまいもん市場』をオープンしました。販促活動は広告を打たず、かっぱ寿司の店舗にあるタブレットやパンフレットを通じてお客様に広めている状況ですが、特に催事期は多くの注文が入りましたね。
また、『出張回転寿司サービス』は大変な好評でした。『自宅にお寿司屋さんが来る』という贅沢な体験価値が話題を呼び、老人ホームやデイサービス施設、企業からの発注など『To B』のニーズがあることがわかった。まだまだリソースの観点から全ての需要をさばき切れていないので、今後は専門のチームを作ってやっていきたいと考えています」