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医師なのに年収200万円→ゼロに。アルバイトで生計を立てる「無給医」のリアル

ビジネス

 国家資格合格者や、大企業への新卒入社組など、一度レールに乗りさえすれば高年収が約束されていたはずの“勝ち組”たち。だが、そんな彼らも長引く不況や、新型コロナが追い打ちとなり、続々と高年収組から転落しているという。その崩壊の実体とは――?

高年収崩壊

写真はイメージです

大学病院の激務に耐える無給医たち

 医師といえば、高収入な職業の代表格。だが、都内の大学病院に勤務する内科医の村上達也さん(仮名・35歳)は、昨年1年間、病院から一切給与をもらっていない。昨今、社会問題になっている「無給医」だ。

「勤め始めてから一昨年までの5年間は非常勤で雇ってもらい、年収200万円程度をもらっていました。しかし一昨年、5回目の更新を前に契約を切られたのです」

 急に契約を切った病院側の意図には背景に労働契約法の5年ルールが存在する。5年ルールとは、労働期間が通算で5年以上の有期契約労働者に対して、無期雇用の申請が可能になるというものだ。

大学病院で研修をしないと資格が取れない

免許証

大学病院はどこも常勤医師を大量に雇う経済的な余裕はありません。このまま契約を続けると、医師たちを常勤医師にしなくてはいけない。

 それを避けるため5年を超える前に契約を切って提携先のクリニックに所属させる。そのうえで大学病院へは“派遣”として勤務させるという方法で、さらに5年間を非常勤医師として働かせるんです

 こうした手法を使っている大学病院は多く、しかも契約すらしていないので、無給になってしまうんですよ」

 とはいえ、無給ではさすがに大学病院で働く医師はいなくなってしまいそうなものだが、制度上そうもいかない。村上さんは「大学病院で研修をしないと専門医の資格が取れなくなってしまったのです。だから医師たちは無給でも大学病院に勤めざるをえない」と言う。

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