子どもを授かったゲイカップル「育児や家事に、性別は関係ない」
サロガシーに「昔のネットは否定的な意見ばかり」
――著書『ふたりぱぱ ゲイカップル、代理母出産(サロガシー)の旅に出る』では、サロガシー(代理出産)という方法でお子さんを授かるプロセスが綴られています。でも、サロガシーという言葉自体は日本であまり馴染みがない印象を受けますよね。
みっつん:認知度という点では本当に低いと思いますよ。僕らがサロガシーという方法で子どもを授かろうと思い立ったのが、2012年あたりで、その頃ネットで見られる情報は否定的な意見しかありませんでした。
それに比べて、今は肯定的な意見が増えてきています。個人的には日本でもサロガシーを認めて欲しいという思いがあります。でも、もともと海外にあった考え方であり方法なので、それをそのまま日本で認めさせるのではなく、日本の土壌に最適化する必要があります。
――海外で実現されている制度を、そのまま取り入れればいいというわけではないのですね。
みっつん:最近だと、不妊治療とか生殖補助医療(体外受精・胚移植、卵細胞質内精子注入・胚移植、及び凍結・融解胚移植等の不妊症治療法の総称)の保険適用というのが議論されてきていますよね。サロガシーも同様に議論が必要だし、憶測ではなくいろんな人の経験や専門家の意見を合わせて考えていく必要がある。その一環として、自分たちの経験者としての情報をシェアして議論の材料になっていけばいいと考えています。
息子は多くの人に支えられ、望まれて産まれた
――著書を読んでいて、ひとつのサロガシーに実に多くの人が関わっていたのが印象的でした。そのようなプロセスを経て、今はどのような気持ちですか。
みっつん:僕たちはジェステイショナル・サロガシー(代理母と卵子提供者が別の人)という方法を選んだわけですけど、卵子を提供してくれた人、代理母となってくれた人など実に多くの人との出会いがありました。
その人たちへの気持ちをひと言で言い表すなら「感謝」ですよね。一番大変な役割である代理母をはじめ、法律的な面でサポートしてくれた人やカウンセリングのように精神的な面で支えてくれるような人たち。経験者という立場でいろいろ教えてくれる人もいました。
友達、家族も含め、自分たちだけではなしえなかったと思うので「感謝」のひと言に尽きます。これから息子が大きくなっていくなかで、あなたはこれだけの人に支えられて望まれて産まれてきたということをきちんと親の口から伝えていきたいです。