ラジコ急伸、チャーハン特番etc.「2020年のラジオ界」を振り返る
2020年3月、コロナ禍に入った頃を境にラジオを聴くようになった人が増えたと言われている。外出自粛や休校、テレワークの普及もあり、radikoの月間利用者は3月に急増し1000万人に迫った。午後のワイドの番組では「初めてラジオに投稿する」という学生からの投稿も目立った。今回はコロナ禍のラジオ界の動きをまとめてみた。
事件① 卒業式の代わりになる企画をオンエア
「◯◯中学校の◯◯先生から、◯年◯組のみんなへ。『ご卒業、おめでとうございます。高校でも目一杯羽ばたいてください』というメッセージをいただきました。◯年◯組のみんな、お――めでと―――!!!」
神戸のラジオ局 Kiss FM KOBEで放送されている人気ワイド番組『Kiss Music Presenter』。番組の看板コーナーのひとつ「岬のおめでとー!」のひとコマだ。
月・火曜を担当しているサウンドクルー(同局では番組で喋る人を“サウンドクルー”と呼ぶ)藤原岬(アカシアオルケスタ)が良いことがあったリスナーのメッセージを紹介。おめでと―――!!!」と11分にわたって祝福メッセージを送る。
3月4日の放送では特別バージョン「ラジオで卒業おめでとー!」を放送した。卒業式の中止や縮小が相次ぎ、落胆の声が聞こえてくるなか、先生や先輩、仲間にラジオを通じてメッセージ届けようと急遽決まった企画だ。藤原はおよそ4時間の放送の随所でおめでとうをメッセージを紹介。前向きになれる曲もオンエアした。
事件②「雑談は世界を救うんです」
3月はパーソナリティーやゲストを集めて寂しい思いをしている学生に向けた特番を組んだり、リスナーと電話で繋いで近況を訊く特番や企画が多く放送された。
音楽に関連した企画では、中止になったラジオ局主催の音楽フェスイベントのかわりにスタジオから生ライブを届ける企画が行われた。
NHK札幌放送局では特別番組『まるごと雑談ラジオ~がんばろう北海道~』(3月16日〜19日)が放送された。2月末から緊急事態宣言が発令されていた北海道で、緊張の日々に疲れている人たちに雑談でリラックスしてもらうという意図で放送された。
発案は帯広放送局の神門光太朗アナウンサー。企画を考えてすぐに札幌放送局に提出。放送日がトントン拍子に決まり、放送時間も当初は1時間だった予定が「それでは足りないだろう」と2時間に拡大。
わずか10日間ほどで放送が確定したという。北海道出身のGLAYや、B.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」の選手など、地元出身の著名人も出演して激励メッセージを送った。
リスナーとのやりとりの内容は笑えるエピソードや真剣な話のバランスが絶妙で、神門アナが最後に放った「雑談は世界を救うんです」という言葉が印象的だった。