初めてのボーナスはお年玉に溶けた…新社会人に切実なお正月問題
結局お年玉をいくら渡したのか?
結果、大学生の従兄弟には1万円。高校生は5000円、中学生以下の子には3000円にすることに。大学生は2人、高校生は3人、中学生が2人いたので計4万5000円が吹き飛ぶ計算です。佐伯さんは「ボーナスが消えた」と思いつつも、実際、この通りのお年玉を従兄弟たちに配りました。
「今でもお年玉をあげる文化は、別に悪いと思っているわけではありません。やっぱり配るほうも少しだけ、楽しかったりしますから。ただ、むやみに大きな金額に設定するのは、やめたほうがいいですね。一度上げてしまうと、それがもらうほうの『基準』になってしまいますから(笑)」
結局、翌年からは大学生のお年玉の金額は5000円にダウンしたとのこと。新社会人では大学生への従兄弟のお年玉を1万円に設定してしまった佐伯さんは「見栄ですね」と振り返りました。
お年玉は地に足をつけた金額にしよう
「これまで僕が叔父さんたちから1万円もらっていましたから、自分もそれを従兄弟たちに返したいと思ったんです。また、大人になった自分を従兄弟たちに見せたいと思ったのもありますね。今、思い返してみるとそんな見栄を張る必要はどこにありませんでした(笑)。
個人的に自分が与える側になった途端、お年玉文化を全否定するのは少し抵抗があります。お年玉はあくまで気持ちなので自分の懐具合は事前にチェックして、気持ちよく渡せる金額に設定するなど工夫すれば、ちょうど良い付き合い方ができるのではないでしょうか」
そういう佐伯さんの従兄弟は、ここ数年で約半分が社会人に。去年からは初めての姪っ子にわずかながらお年玉を渡しているといいます。
「初年度のボーナスはほぼ溶けましたが、なんだかんだ続けているのは慣習だけではなく、ポチ袋を渡したときの笑顔は嫌いじゃないからだと思います」
<取材・文/藤冨啓之 イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>