25歳女性が「僧侶」になった理由と、同世代に言いたいこと
浄土真宗の教え「当たり前のことばかりです」
「浄土真宗は、人と人とが共存していくための人間性を育てる宗派なんです。だからこそ、浄土真宗の教えは、怒らないようにしようとか、両親は大切にしようという、当たり前のことばかりです。また、他の宗教では、もともと人は清い存在であると仮定しているものもあります。しかし、浄土真宗では、人間にはもとも清い心などなく、煩悩だけの存在だと仮定しています。煩悩を消し去ることを考えるのではなく、煩悩を抱えた上でどのように生きるかを考える宗派なんです」
浄土真宗の教えは現実的で、現代の問題を考える上でも役に立つという。
「浄土真宗は歴史ある宗派ですが、教えの内容はとてもリアリスティックで、私たち現代人の悩みを考える上でも大いに役立ちます。SNSが普及した昨今では、他人の言動に人々が嫉妬することも増えました。そのようないわゆる煩悩が生じている自分とどう付き合うのかを考えることも、浄土真宗の教えの実践と言えます」
浄土真宗の教えをどう実践に活かすのか
妙晶さんは、普段から法話や悩み相談などを行い、浄土真宗の教えを日常生活の中で実践している。悩み相談では、依頼者は教えを受けるというより、ただ話を聞いてもらうことを望んでいる人が多いという。
「多くの場合、相談してくる人は自分の話を聞き流してくれる相手を望んでいます。コロナが流行してからは生活に困っている人も相談に来ますが、ただ会話相手に話を聞いてほしいひとがほとんどです。僧侶だったら多少悪口を言っても受け止めてくれる、頭ごなしに否定はしないという安心感から相談してくださってると感じます。だからこそ、相談を受ける際は相手に寄り添う姿勢を重視しています」
妙晶さんは現在25歳だが、相談を依頼する人の年齢層はさまざまだ。
「上の世代だと60代の方もいらっしゃいます。でも、一番多いのは30代ですね。サラリーマンやOLさんなどがよく相談に来ます。具体的な悩みというよりは、漠然とした悩みや焦燥感のようなものを打ち明けてくれることが多いです。漠然とした悩みほど思いを吐き出す場所がないので、自分のところに来るのかなと思っています」