コロナ特需でポルシェを買った26歳カメラマン。「結婚式前撮り」が盛況で
「バブルを逃すな」と働きポルシェを購入
しかし、そんなハードな仕事ぶりでも彼に文句はない。
「基本給は25万円ですが、撮影1件につき3万円ほどの歩合が乗ります。残業代も合わせると手取りは約40万円。コロナ以前は歩合が取れず基本給=月給でしたが4月から一気に増えました」
緊急事態宣言発出後から注文が増え始め、それに伴って給料も上がっていったという。
「僕らはお客様のカップル2人とカメラマン、メイクさんの基本4人で撮影に行くので密になりにくく、桜の時期でもあったので、客足は上々でした。これは景気がいいぞと踏んで、6月にローンを組んで中古のポルシェを500万円で買いました。最近は忙しすぎて乗るヒマもないんですけどね」
写真好きでも体力的、精神的にこたえる作業量
これだけ景気が良いなら、カメラ好きが殺到しそうだが……。
「複数の現場を回るので、体力的には相当キツいんです。先日40代の方が入社しましたが、すぐに辞めました。それに、現場での撮影よりも、実は画像のデジタル補正などの作業に時間がかかります。たとえば1時間の撮影で200カットを納品する場合、そのすべてについて細かい仕上げ作業が必要です。たとえ写真好きでも、精神的にこたえる作業量です」
もっとも、現状がバブルだという認識は彼自身も持っている。
「コロナが収束して、カップルが結婚式自体にお金をかけ始めると、前撮りの需要がどうなるか怖い。でもそんなときになっても、写真に個性が出せるカメラマンは生き残れるはず。今でもお客さんから、『あなたの写真がいい。撮ってほしい』と指名を受けることもありますから。ただ、今働いている一番のモチベーションは、ポルシェのローン。腕を磨きながら、がむしゃらに働くしかないですね」
ポルシェのローンを終える前にバブル崩壊の憂き目に遭うかも。
<取材・文/沼澤典史(清談社)>
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