持続化給付金の不正受給。なぜ10〜20代が詐欺に加担したのか
なぜ被害が一気に広がったのか
そもそもマルチ商法では、知人が知人を誘い、会員にすることで連鎖的に商品などの販売網が広がっていきます。誰かを紹介することで、リクルート料も入ります。もちろん、法律に則った形で誘えば問題ないのすが、グループによっては、法律を守っていては販売網が広がらないので、嘘をついて勧誘するケースも見受けられます。
これまで私自身も、詐欺や悪徳商法のジャーナリストとして、取材のため、さまざまなマルチ商法の誘いに乗ってきていますが、勧誘者らは組織の上司・先輩から言われた勧誘文句を疑いなく信じて、口コミで広げる傾向があります。健康食品のマルチなら「この商品を飲んで、病気が治った人がいる」といった感じです。話を確かめることせず、受け売りのまま口にするので、勧誘先で時に口論になることがあります。
もちろん、すべてのマルチ勧誘がそうではありませんが、体験上、そういうグループが多いと感じています。同じ組織の上位者からの言葉を鵜呑みにする人々が、不正受給を指示通りに行い、被害が一気に広がった面もあるでしょう。
報道でようやく芽生える罪の意識
経済産業省から「不正受給は犯罪です!」との注意がなされているように、不正受給を裏で指南する者、口コミやSNSで勧誘してマージンを受け取る者、そして名義を貸して、実際に給付金を受け取る者、全員が犯罪行為をしています。
「バレないから、大丈夫」。いまだに、勧誘者の言葉を信じているかもしれませんが、それは大きな間違いです。今年はコロナの影響もあり、前年度の確定申告が、本来の期限(3月16日)を過ぎても受け付けられていますが、不正申請を行う者のほとんどは、この時期を過ぎてから、前年度の嘘の売り上げを計上した確定申告を税務署にして、給付金の申請を行っています。
必ずや調べられ、嘘は暴かれて、詐欺行為を問われることになるでしょう。ここにきて、盛んに不正受給が犯罪と報道されたことで、ようやく罪の意識が芽生えてきたのでしょうか。逮捕を恐れて、続々と返還の申し出をする人が出てきています。