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32歳・元“歴ドル”社長が起業を決意した「祖母の入院」と「三方よしの精神」

学び

 2020年5月に芸能界引退を発表した小日向えりさん(32)。三国志や戦国時代好きが高じて、歴史に詳しいアイドル“歴ドル”というポジションを確立し、お城や戦国武将を特集した番組、クイズ番組には欠かせない存在だった。

戦国イメージ

画像はイメージです

 しかし、彼女にはタレント時代から別の顔があった。それは2つの会社を起業した「会社経営者」という顔だ。芸能活動をしながら、2012年に歴史グッズの通販会社「黒船社中」を立ち上げ、2017年には高齢者を依頼者の元に派遣する家事支援サービス「東京かあさん」を展開する株式会社ぴんぴんころりを設立。タレントと社長業の二足のわらじを履いてきた。

芸能界引退の理由は「事業に専念するため」

 そもそも歴ドルと経営者は意外な組み合わせに思えるが、実は彼女の家族や親戚は自営業者ばかり。祖父と父親は飲食店や不動産事業を営む経営者、いとこは飲食店オーナー、おばはダンススクール経営者、おじはスーパー銭湯チェーン・極楽湯の創業者だ。

「私の姉は会社員なのですが、親戚は自営業が多く、代々商売人の家系なんですよ。お正月などで親戚が集まると、当たり前のように商売の話が飛び交っていました。だから私も20歳くらいには『いつか起業したいな』と自然に考えていました

 しかし、タレントとして活動しながら事業を手掛ける芸能人は少なくない。芸能界を引退する必要はあったのか。小日向さんは「芸能の仕事は本当に楽しかったですし、嫌になったからではありません」と語る。

「子供の頃はモデルになるのが夢でしたし、実際にタレントとして活動することもできました。だけど、事業をやりたい夢のほうが大きくなっていきました。実は創業した時、1人目の社員を雇った時など、節目ごとに引退を考えましたが、やはりこの事業に人生を懸けたいと覚悟が固まりました。だから退路を断って、背水の陣で挑むことにしたんです

最初は“歴ドル”と言われるのが嫌だった

小日向えりさん

小日向えりさん

 1988年生まれ、奈良県出身の小日向さん。小学4年生の時から一眼レフカメラを持ち歩くほど、写真を撮るのも、撮られるのも大好きな女の子だった。中学生になって急激に身長が伸び、周囲から「モデルになったらいいのに」と言われたのがきっかけで、ファッションモデルを目指して芸能界入り。

 ティーン向け雑誌などでジュニアアイドルとして活動した後、父親や“歴女”の友人の影響で歴史にハマり、趣味でお城巡りをするように。次第に芸能人としても歴史関係の仕事が舞い込み、気づけば“歴ドル”と呼ばれていた

「最初は趣味を仕事にするつもりはなく、“歴ドル”と言われるのも嫌でした。特にクイズ番組は、歴史全般に詳しいわけではないのに何でも知っていて当然みたいなプレッシャーに耐えられず、『クイズだけは断りたい』と泣いたこともありました。でも徐々に歴史の知識もついてきて、好きなことを仕事にできる喜びのほうが大きくなり、途中からは“歴ドル”と呼ばれることに抵抗がなくなりました」

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