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手取り15万円の22歳アパレル店員。売上が足りず自腹を切ることも

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売上が足りず自腹を切ることも

ブラックアパレル

 しかし、「出費はこれだけではない」と鈴菜さんは嘆きます。

「自腹で売上を作らなきゃいけないことがあるんです。店と個人の売上目標がそれぞれあるんです。自腹を切る覚悟をするのは『店の目標が未達成、なおかつ自分の売上が極端に低いとき』。もともと店で着る用でも買っているので、あまり欲しくない服を『買わされる』感じです」

 強制的に買わなければいけない訳ではないそうですが、「誰かが買えば終わる」という空気に耐えられないそうです。正社員とはいえ、手取り15万円でこれだけ出費があると生活は成り立つはずはありません。

「専門学生のときからキャバクラのバイトをしていて、いまだに続けています。7万8000円の家賃、光熱費を払って、美容代や洋服を買っただけで、本業だけだとマイナスですから(苦笑)。キャバには休みの前の日に週2回出勤してます。月10万円くらい稼いで何とか生きていけてるって感じですよ」

 ショップ店員が週5勤務で手取り15万円、そしてキャバクラが週2回勤務で手取り10万円。これだけ働いても手取りは25万円。鈴菜さんは何度も、キャバクラ1本にしようかと悩んだといいます。

薄給だがやりがいはある

 彼女の友人のショップ店員も副業をしている人は多いとか。

「あまりの給料の安さにやめていく人をたくさん見てきました。今の同僚も実家暮らし以外の子は私と同じようにキャバでバイトしてたり、ギャラ飲みやパパ活をしてますね」

 それでも、しばらくは本業と副業の二足の草鞋を履き続けるつもりだそうです。

「なんだかんだこの仕事が好きなんでしょうね。自分がディスプレイした服が売れたり、お客さんが笑顔で帰っていく姿を見ると嬉しくなります

「キャバの仕事も嫌いじゃないけど、そこまで達成感はない」と話す鈴菜さん。新型コロナのこともあり、薄給だろうと正社員で良かったと改めて感じたそうです。

<取材・文/吉沢さりぃ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。近著に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)がある。『日刊SPA!』『BLOGOS』などで執筆。趣味は飲酒
Twitter:@sally_y0720

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