「退職願が受理されない」29歳が職場に内容証明で郵送した結果
会社をやめようと思う理由は人それぞれ。しかし、厄介なのは会社が退職の申し出になかなか応じてくれず、いたずらに期間を引き延ばされたり、退職届の受け取り自体を拒否されたりするケースです。
実際にこうしたトラブルは多いようで、田廣健治さん(仮名・29歳)もそのひとり。前職の通信設備会社では上司が退職を認めてくれず、当初予定していた時期よりもやめるのが半年ほど長引いてしまったといいます。
激務に耐え兼ねて退職を決意するも
「会社としての業績は悪くなかったのですが、慢性的な人材不足という問題を抱えていました。私は取引先との工事の調整などを担当していましたが、月数十時間の残業なしでは成り立たないほどの明らかなオーバーワーク。微熱や下痢などの体調不良が続いたり、このままでは身体かメンタルのどっちかを間違いなく壊すと思っていました。人が増える気配もないし、仕事も増える一方。それで会社をやめようと決断したんです」
しかし、これが長い道のりの始まりだったとは本人も知るよしもありませんでした。
「上司であるチーフマネージャーに少し時間をもらい、そこで退職願を出して来月いっぱいでやめさせてほしいと伝えたんです。ところが、上司は退職願を受け取ろうとはせず、『気持ちはわかったが、思い留まってもらえないだろうか。仕事は負担が軽減できるように調整してみるから』と慰留を説得されました。それで私もこのときは上司を信じて引き下がり、しばらく様子を見ることにしたんです」
慰留されて一旦残ってみたが…
ですが、仕事量を減らしてくれるなどの配慮は一切してくれず、何事もなかったかのように気がつけば4か月が過ぎていました。
「上司は『会社に人を増やしてもらうように頼んでいるが、もう少し時間がかかる』って。けど、それはあくまで会社の事情であって、私が配慮するようなことじゃないですよね。それ以前に上司への不信感もあったので、今度は退職願をきちんと受け取ってもらいました」
このときは退職がきちんと受理されたと思ったそうですが、実はそうではなかったのです。