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1日1食コンビニ飯だけ…夢の転職で「月収10万円台」になった若者のリアル

学び

 総務省が9月1日発表した7月の労働力調査では、就業者が前月比で11万人、完全失業者が2万人にぞれぞれ増加。完全失業率は2.9%と前月から0.1ポイント上昇しましたが、雇用は依然として厳しい状態が続いています。

貧困 お金

※画像はイメージです(以下、同じ)

 若者の「手取り20万円以上は絶対に欲しい!」はもはや高望みなのかもしれません。今回、話を聞いた服部豊さん(仮名・25歳)は、長年の夢であった出版業に転職しましたが、手取りが20万円を超えたことがないそうです。

憧れの異業種に未経験で転職

「都内にある出版社で編集をしています。従業員5人ほどの小さな会社です。出版社というのも名ばかりで、主に大手から出版される実用系書籍や、タウン誌などを下請けで作っています。製作費がないので、自分たちで取材をして、撮影もデザインも行っています」

 給与の低さには、異業種から転職したことが影響しているといいます。

「編集者は長年の夢で、大学時代の就活で大手出版社にエントリーしたけれど全滅しました。仕方なく、まったくの異業種の食品会社へ。缶詰やドライフードの営業を担当していましたが、仕事にやりがいを感じられなかった。異業種に転職をするなら25歳までというタイムリミット説を知り合いから聞いて、2年目で退社しました

 憧れだった出版社に転職したものの、未経験からのスタートのため、提示された収入も低かったそうです。

社会保険ナシ。手元に残るお金は…

ブラック出版社

「すぐに給与は上がるという説明でしたが、この1年ずっと据え置きのままです。しかも、社会保険はなく、国民健康保険に自分で加入することに。契約上は社員扱いなのですがショックでした……。従業員が5人以下の場合は、社会保険に加入する義務はないみたいなんです」

 いやいや、社会保険は、すべての法人(株式会社など)と、従業員5人以上の個人事務所(一部業種を除く)が、加入する義務があるのです。服部さんの会社は、社長の個人事務所で従業員4人以下だったのでしょうか? 

 ともあれ、事前に提示された条件と異なる雇用環境に服部さんは驚きつつも、スキルアップのためと割り切っているそう。

校了前は徹夜もありますが、残業代などはつきません……。給料は19万円。そこから自分で保険料を払わなければならないため、実質の手取りは16万円ほど。しかも、定期代の支給もありません。最近は、天気も良いので、安いクロスバイクを買い、それで通勤しています。交通費が節約できて、運動にもなるので悪いことばかりではないですよ。最近は猛暑で熱中症になりかけていますが……」

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