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年収2000万円を捨てて…元「キーエンス」のトップ営業マンが独立した理由

学び

キーエンス入社の理由は「未開拓であること」

――そんな環境下でキーエンスを選んだのはなぜでしょうか?

天野:就活を進める中で製造業に行きたいという思いは固まったのですが、実はキーエンスのほかにも大手自動車メーカーから内定をもらっていました。とても悩みましたが、父のある言葉が背中を押してくれました。

「完成されているところに行くよりは、伸びるところに行った方がいい」。これは本当にその通りだなと思って、センサーという未開拓の領域でこれからの製造業を大きく変えていくであるキーエンスに入ることを決意しました。

――周囲の反対はありませんでしたか?

天野:大学の友人も大手に行く人ばかりだったので、当然みんな否定的でした。ただ、一人だけ「いいじゃん」と言ってくれた人がいたんです。大学時代によく行っていた定食屋のおやじさんなのですが、株が好きだったらしく、前身のリード電機から知っていて「天野くん、この会社は成長するよ」と言っていました。

営業の目標は「売上」ではない

営業マン

――キーエンスに入ってから苦労はありましたか?

天野:正直苦労しましたし、何もかも驚きでした。特に衝撃だったのは、営業なのに目標が「売上」ではない点です。利益ベースでの目標を立てるので、原価や人件費まで意識する必要があり、一人ひとりが独立した小売店のようなイメージで働いていました。

 一番苦労したのが「行動目標」を厳しく言われた点ですね。行動目標というのは最近で言うKPIで、利益を達成するために必要な行動まで落とし込んだ個人の目標です。1年目は、電話を何件かけたか、カタログを何部出したか、という数字を厳しく求められました。しかも、その行動目標に対して上司からのフィードバックはほぼ毎日あり、「ビジネスプランがなってない」と叱責されることもありました。

――そこから1年目は同期の新人190人中1位の営業成績を残したそうですね。

天野:最初は会社の方針に戸惑いましたが、色んな偶然が重なって好成績を残せました。一番ラッキーだったのは、配属された営業所がまだ新設間もないところで、これからどんどん伸ばしていこうという気風があったことですね。当時まだキーエンスは中小企業とばかり取引していましたが、僕は大手企業ばかりアタックして、なんとか大型の案件を受注できました。

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