大仁田厚「都知事選で山本太郎に視線が集まるのはわかる」
数々の「電流爆破デスマッチ」の中で「人間の器が見えた」と言うプロレスラーの大仁田厚氏。自身の半生を振り返る著書『人生に必要なことは、電流爆破が教えてくれた』(徳間書店)では、プロレス界のみならず、参議院議員でもあった彼が出会った政治家たちとのエピソードも語られている。
そんな大仁田氏は “本物”だと思った人物として、師匠のジャイアント馬場氏に加え、意外にも2人の大物政治家を挙げ、「プロレス界と政界は似ている」と断言する。一体どういうことなのか。その真意を本人に聞いた。
売り上げを持ち逃げされたことも
――著書では様々な人間模様が赤裸々に語られています。ある試合ではチケットの売り上げを全て持ち逃げされてしまい、試合後には医師が麻酔を忘れて、麻酔なしで傷を縫われたという踏んだり蹴ったりのエピソードが印象的でした。
大仁田厚(以下、大仁田):1991年の「8・17炎のバトル~FMW&ロックIN鳥栖~」でのことだけど、本当のことだよ。結局、俺が借金して全部払ったんだ。大損だったけど、それよりも麻酔なしで縫ったのが痛いのなんのって。
笑っちゃうのがさ、今は佐賀県に住んでいるけど、健康診断で医療センターに行ったら、担当の先生が「あの時はごめんなさい。麻酔を忘れて」って言うんだよ。「あんたか!」って。こんな再会もあるんだなって、びっくりしたよ。
プロレスと政治の世界は似ている
――大物から小者まで様々な人間を見てきたと思いますが、大仁田さんが“本物”だと思った人物はどなたですか。
大仁田:やはりジャイアント馬場さん。そして、小泉純一郎さん、古賀誠さんだな。
――プロレスの師匠・馬場さんは納得ですが、2人も政治家を挙げるとは驚きです。
大仁田:プロレスと政治の世界って似ているんだよ。劇場型っていわれた小泉さんなんか完全にプロレスだよ。俺が2001年、参議院議員に出馬したのだって、小泉さんが「自民党をぶっ壊す」「改革だ」ってぶち上げたからだよ。「抵抗勢力」なんて言葉はプロレスにもなかったしな。
すごい人が出てきたなって。小泉さんは何でも真っ二つに切るから分かりやすい。しかも、半数が支持してくれれば、残りはいらないっていう男らしいところがいいよね。まあ、俺は小泉さんに「抵抗勢力」と言われた古賀さんについていたけどさ。
だけど、本当にプロレスだなって思ったのが、あれだけバチバチやっていた郵政民営化の時でも、裏では小泉さんと古賀さんは普通に電話してるんだよ。古賀さん、誰と話しているのかなと思ったら、「おう、小泉」とか言っているんだもん。まいるよなぁ(笑)。