コロナで見えた働き方の本質。リクルートとバンダイでも見た景色<常見陽平>
昔も経験したことがあったが…
コロナ禍では、さまざまな問題が浮かび上がってきた。視点は色々とあるが、私は、全世界で人と人との「物理的」ないし「精神的」な距離ができたのは、ひとつの大きな本質だと捉えている。ただ、これは何も今に始まったことではない。過去の会社員時代にも似たような状況を経験したことがたびたびあった。まず覚えているのは、大学卒業後に就職したリクルート社時代だ。
求人情報誌の編集部で働いていた私は、階数の異なる部署の人間に対して「10階の管理部門の連中たちはどうしようもねえよな」と、同僚たちがクダを巻いている姿をよくみていた。
世界的に広がる「分断」
また、その後に転職したバンダイでも、同じような言葉を聞いたことがあった。どこの会社でも製造と営業がケンカするという話はよく聞くが、当時の会社では、途中から開発部門と営業部門が物理的に離れたことで、たがいの確執が顕著になった場面も見たことがあった。
それが今や世界的に人と人が切り離されようとしている。現状では「分断」という言葉も一部でささやかれているが、小さな範囲では昔からあったはずのものが、グローバルに広まりつつあるのは大きな変化といわざるをえない。
特に、人間同士はやはり「会う」ことで何らかの信頼が生まれたりもする。昭和的といわれてしまうかもしれないが、飲み会で同僚や先輩たちとコミュニケーションを図る、チームの絆を強くするためにボウリング大会を開くなど、ときにはインフォーマルな関わり合いも必要だ。