トランプ大統領「中国との関係断絶」発言。コロナで日本の国防に懸念が
中国にプレッシャーをかけるアメリカ
日本のシーレーンがある南シナ海では、特に注意が必要だ。2020年4月、中国は2012年に南シナ海の諸島を管轄するために設けた海南省三沙市に、行政区として「西沙区」と「南沙区」を新たなに創設し、南シナ海の島やサンゴ礁、海底地形等を含む計80か所の名前を発表した。
南シナ海での緊張感は増すばかりだ。米国は、中国が同海に建設した人工島の12海里内にイージス駆逐艦を派遣する「航行の自由作戦」を今年に入ってすでに4回実施。昨年は通年で8回だったことから、米国が懸念を高めていることがうかがえる。
また、米軍は今年に入り、昨年の3倍以上となる39回にわたって南シナ海周辺の上空を飛行し、うち2回は香港付近を通過したのだ。香港付近を通過するということは、中国にとってはより大きなプレッシャーとなろう。
東シナ海はどうなるのか
中国人民解放軍は今夏、台湾と領有権を争う東沙諸島を支配下に置くことを想定した大規模な上陸訓練を予定しているという。
東沙諸島は台湾の南西に位置し、日本へ向かう大量の船舶が航行するシーレーン付近にあり、日本のエネルギー安全保障上でも大きな問題だ。台湾の沿岸警備部も、東沙諸島の駐屯地で6月に定例の実弾射撃訓練を実施すると発表しており、今後の行方が懸念される。
これは日本の主権にも大きな影響を与えそうだ。東シナ海は沖縄の主要な米軍基地があることから、中国としても南シナ海のようにやりたい放題というわけにはいかない。
だが、中国は米国の隙を突く形で海洋覇権を拡張しようとしている。