「警察官をクビになった」著者に聞く、壮絶ないじめ体験から立ち直るまで
幼い頃から夢描いた場所で働くチャンスを得るも、苦境に立たされて挫折……。18歳の頃、警察学校へ入学してからわずか半年で退学することになった、コラムニストでブロガーのハルオサン(@keikubi123)
その彼が描いた漫画『警察官をクビになった話』(河出書房新社)は、1日200万PVを記録した人気ブログから書籍化された話題書です。
警察学校で受けた同期や教官からのイジメの数々を生々しく描写。卒業後も「元警察官」という肩書きに苦しみつつ、さまざまな職業を経験してきたハルオサンは、今何を思うのか。その半生や書籍にかけた思いを語っていただきました。
ブログを始めたきっかけは?
――警察学校に入学してから、辞める決断を下すまで、常に過酷な環境下で追い詰められていた印象です。当時の経験と比べると、現在の自分は幸せだと思いますか?
ハルオサン:正直「幸せか不幸せ」かはあまり考えません。生まれつき実家が貧乏で、幼い頃から両親が喧嘩をして、しょっちゅう家から出ていく環境に置かれていたので。
他人からみれば複雑な環境で育ったから、自分なりには「生きていられればいいかな」と思っています。誰かと比べるのもないし、常に世の中の人たちよりも下の存在だという意識があります。
――警察学校での体験はブログ「警察官クビになってからブログ」で2017年11月から公開され始めていましたが、きっかけは何でしたか?
ハルオサン:ブログを始めるよりもっと前にさかのぼるのですが、じつは、5年前に工場作業員として働ていた時期に、過労で首の骨が変形するくらいの骨折をしたんです。会社からは当然「辞めてくれ」と言われて、挙げ句の果てに両親からも「30代に近いしもう面倒見切れん」と見放される経験がありました。
その後、一人暮らしを始めたものの骨折の後遺症で右手にはしびれが残り、寝たきりを強いられる状況でしたが、ちょうどその頃に在宅ワークを始めたんです。事務員や営業の仲介をする仕事で、クライアントも自分の状況を考慮しつつ「いい仕事回すよ」と言ってくれた矢先に、今度はその方の事業が傾いてしまったようで音信不通となり……。
それでも傷病手当金をもらいながら細々と生活を続けているなかで半ばやけくそになり、モヤモヤしているくらいなら「いっそ暴露してしまおう」と思えたことで、ようやくブログを始める決心がついたんです。