24時間営業のジムが増え続ける理由。実は消費者心理を巧みに利用していた
24時間ジムはサブスクモデルなのか
実際に24時間営業スポーツジムについて調べたという人たちからは「ああ、サブスクリプションでしょ」という答えが返ってきがちだ。定額料金にしておいて、設備は最小限にとどめ、人員もほとんど置かないという特殊なビジネスモデルで「トレーナーの下でしっかり身体を鍛えたい人」ではなく「自己管理で運動不足を解消するという人」を対象にしているビジネスだというのである。
こうした疑問を持つ人が多いために、定型的な答えもまたネット上にあふれている。しかし、サブスクリプションだと言ったところで、実は問いに対して明確に答えられているわけではない。
そもそも厳密には24時間ジムはサブスクリプション・モデルというより、専門的には単なる定額制モデルと呼ばれる。もちろんこうした答えにも一理はあるのだが、収益構造がいまだ見えてこない半端な答えのままである。
収益の大半を占める「幽霊会員」
そこで、通常の経営コンサルタント的な視点からすれば、ここにさらに収益モデルの説明を追加して次のように説明し、「これが真の答えだ」というかもしれない。
それは、このビジネスは「ジムに来ない人がお金を払ってくれるから成り立っているのだ」というものである。
誰しも「ジムに登録はしたけど、仕事から帰ってきたら疲れちゃってて、結局ジムには行っていない」といった経験があるだろう。あるいは少なくともそうした状況が容易に想像できるだろう。
実は、24時間営業スポーツジムの収益の大半が幽霊会員。すなわちジムに会員登録をしたけど実際には来ない人、によるものなのである。幽霊会員に対しては管理のコストはほとんどかからず、ジム機材も使われずに済む。幽霊会員はほとんど寄付をしてくれているようなものだ。そして、この幽霊会員が思いのほか多いのである。