自粛ムードで「コロナ疲れ」…学生・大学教員は苦渋の決断<常見陽平>
苦渋の決断を迫られる各組織
「卒業式」も規模を縮小して開催となった。安全配慮と感染拡大防止である。本学では「学位記授与式」と呼ぶのだが、式典としては「中止」とし、当日に「学位記の授与」のみを学部ごとに時間と教室を分けて実施することになった。
なお、11月に予定されている学園祭に合わせたホームカミングデーにかわりの「式典」を行うことになった。「在学生、保護者および関係者の学内への入構禁止」「大勢がキャンパス内に滞留することを避けるため、原則、各開始時間の30分前に正門を開門」。
「各終了時間の30分後に正門を閉門」「全員マスク着用」「建物入口にて、手、指先のアルコール消毒」「交付場所は窓を開けるなど換気をしているので当日は暖かい服装でくること」「当日は写真撮影用に特別なスポット等は設置しない」「服装のレンタル等のキャンセルは各自で判断」など、ルールも明確に定められている。懇親会、謝恩会もない。
「厳しい」「やりすぎ」という声もあることだろう。もっとも、大規模な大学は、卒業式や、入学式も早々に中止の意思決定をしている。「なぜ、中止にしないのか」という批判もある得るわけだ。何よりも安全配慮と感染拡大防止が大切である。各組織が苦渋の決断をしている。
新学期のスタートはどうなる?
やや余談だが、この原稿を書くために本学のウェブサイトを閲覧したところ、学生向けに「不要不急の会合やまとまった人数で一堂に会しての飲食は控えてください。」と呼びかけていた。明言はしていないものの。解釈によっては「追いコン禁止」ということになる。
教員としては実に複雑な心境である。大学の決定にNOというつもりはない。むしろ、私が意思決定の場にいたとしてもそう言うだろう。もっとも、学生や保護者は普通に卒業式を迎えたかっただろう。卒業式をお祭りだと揶揄する声や、不要論を唱える人もいるだろうが、学びの締めくくりとしての場を用意することができず残念である。
今どきの学生は尾崎豊の「卒業」のように「夜の校舎窓ガラス壊してまわった」なんてこともない。ただ、仮にそうしたいとしても、入構できる時間がないから厳しいことだろう。「この支配からの卒業」であることは今年も変わらないのだが。
各大学は今、入学式を予定どおりに行うかどうか、新学期を通常通りに始めるかどうかで揺れている。早稲田大学のように、すでに2週間遅れにすることを発表している大学もある。なお、2週間遅れで始まると、講義がスタートするのは実質、GW明けになる。
もちろん、安全配慮と感染拡大防止のためにはやむを得ない。ただ、「普通の大学生活」が揺れている。