1年で会社を辞めた’19年入社組の本音「あまりにホワイトすぎて…」
2020年も新卒社員たちの入社の季節がやってくる。’19年度入社組は2年目を迎えるが、なかには1年を待たずして退職する者も多い。彼らが会社を辞めた理由は何なのか? その本音を探った。
ホワイトすぎて自己成長ができない
誰もがうらやむ大手IT企業に’19年度新卒でSEとして入社した神田港人さん(仮名)は、わずか8か月で退職した。その理由は「あまりにもホワイト企業すぎて……」と意外なものだった。
「上司は優しくて初任給は高いし、社食は無料。社内には割安のジムがあるなど、オフィスで暮らせると思えるほど快適でした」
さらに’19年4月1日から施行されている「働き方改革関連法」によって、時間外労働の上限規制も徹底していたという。
「ガンガン働いて専門性を高めたいのに、残業管理をされて働けない。それに、入社したばかりだとさせてもらえない仕事も多くて、もどかしさを感じました。周りの人の仕事に対する熱量が、自分とは同じじゃなかった。そのホワイトすぎる環境に、そのうち慣れてしまうのも怖いと思いました」
神田さんは現在、フリーエンジニアとして働いている。最初は貯金を取り崩していて、来月までの生活費しか残っていないようなギリギリの生活をしていたが、「無事に収入のめども立ち、今のほうが充実しています」と言う。
労働時間が長くても楽しければ問題ない
「ホワイトで安定しすぎている企業にいると、だんだん不安になってくるんですよ」と言うのは大手飲食コンサルティング会社を8か月で退職した島川優斗さん(仮名)。
「経費も有休もちゃんと使えて、上司も同期もいい人ばかり。ボーナスも高かった。でも、僕には『将来は料理人になって自分の店を出したい』という夢があったんです。17歳から入社するまでの5年間、飲食店でアルバイトをしていて、そのうち2年間は店長をやっていました。小さい頃から料理が大好きなんです。ここにいれば、いろいろなお店を見られると思って入社したんですが、料理を作りたくて仕方なくなってしまいました」
島川さんは現在、都内の飲食店で料理人として働いている。
「労働時間は長いですが、楽しいのでまったく問題ありません。それに、将来のビジョンに近づけているという実感があります」