新型コロナ、安倍政権の「遅すぎる対応」を海外と比べてみた<ダースレイダー>
東京大学中退という異色な経歴を持ちながら、明晰な頭脳を生かしマルチに活躍するラッパー・ダースレイダー(42)。
この連載では現代日本で起きている政治や社会の問題に斬り込む。今回は、連日新たな感染者が報じられている「新型コロナウイルス」の問題について。ネット上には今も、新型コロナに関するさまざまな憶測やデマが流れている。
この国ではいったい何が起きているのか? 未知なる感染症を前に、私たちは情報をどう選ぶべきか? ダースさんに解説してもらった。
新型コロナで感染していく“2つのもの”
ダースレイダー:新型コロナ含め、感染症全般に言えることなんですけど、感染していくものが2つあります。ひとつはウイルス自体。もうひとつは情報、不安、恐怖。不安や情報が感染していくスピードは、どんどん増していく。こちらの対策は容易ではありません。
新型コロナも、ワクチンの開発にどれくらいの時間がかかるかはさておき、ウイルスに関する情報はいろいろ出てきています。アンテナをいくつか立てて、専門家たちが言っていることの中で、共通する部分を絞り、情報の精度を高めていくということが大切です。
特に発生した直後は本当にいろいろな話が出てくるし、偏見レベルで「こんなにヤバかった」とブーストされた情報も出回る。だから、そこに対してすぐに反応するのではなくて、「なるほど、この人はこう言ってる」という距離感で聞くことも大切。専門家も未知なものに立ち向かっている状態なので、そのつど調べていって、意見がある程度シフトしていくっていうのも想定しながら話を見ていかなければなりません。
ちなみに僕の“希望”としては、新型コロナは悪い風邪程度で、2021年にはインフルエンザのように、かかったら「お大事に」という扱いになる、というものです。この“希望”に見合った情報もたくさん見つかります。なので、僕は自分にこうしたバイアスがかかっていることを自覚しながら、さまざまな情報と接するように心がけています。
「そんなこと言ってるうちにうつっちゃたったらどうするんだよ」と、心配にもなると思います。情報は日々アップデートされていくから、常にアクセスできるようにしつつ、その数字をよく見ましょう。感染者の数とは別に完治した数もあります。現在、世界で約11万人の感染者のうち、6万人は完治しています(※2020年3月10日時点)。
正しい情報はどう選ぶ?
ダースレイダー:新型コロナに関していえば、初期に報道された圧倒的な致死率、感染率の高さというのは武漢で発生した、パニック状態のときのデータも入っています。その影響で数字が跳ね上がっている。武漢でのパニックというのは、人から人への情報、不安が感染していく過程で起きてくるもの。これがセットになってしまったため、今となっては「ウイルスによる破壊力を上回るインパクトが起きてしまっていたのでは?」と想像できます。
一方で、厚生労働省は随時、研究データを上げてくれています。また、他国のデータやWHOの発表なども合わせて見るといいでしょう。
新型コロナのポイントは、症状がでていなくても、感染している場合があるということ。その上、潜伏期間が長い場合だと12.5日と言われている。検査で1度陰性と言われた人が、その後陽性の診断を受けているケースもあります。偽陰性とって、ウィルスの量が少なかったため、検出されない例もあります。
未知のものだから「どれだけ恐れればいいのか」とか「どれだけ安心すればいいのか」というのは、実は決めてはいけなくて、半身の構えでいなければいけません。