エイベックス直営の大型ナイトクラブ「身分証フリー」で楽しめる理由
来場者ファーストに考えた顧客体験を提供する
さらに、特筆すべきものとして最先端のテクノロジーを生かした「静脈認証システム」が挙げられる。
国内のエンタメ施設では初の試みで、右手の静脈情報とクレジットカード情報を静脈認証システムに登録することで、これまで毎回提示必須だった身分証チェックが不要となる。さらに、バーカウンターでドリンクを注文する際も、キャッシュレスが可能になるのだ。
「顔認証や指紋認証も検討しましたが、プライバシーの観点から、静脈認証を導入しました。こちらは非常に好評で、現在では多くのお客様に登録していただいています。特に女性から支持されていて、その背景として女性は免許証を持っていないことが多く、毎回パスポートをID代わりに持参するのは面倒であること、なくした時に大変なことから、静脈認証の利便性を評価いただいています」
2016年に風営法が改善され、特定遊興によるクラブ営業が合法化されたことで、クラブに対する「怖い」や「危ない」といったイメージ払拭を図り、安心安全であることを訴求するのが、ナイトシーン活性化に繋がるのではないだろうか。
オクタゴン発のブームを仕掛けたい
オクタゴンが着実に人気を得ているのは、最新鋭の設備や静脈認証を取り入れ、徹底的に来場者ファーストに考えた体験を創り込んでいるからだろう。平松氏は「今後は、キャバクラに出入りしている層にもクラブに来てもらうようにしていきたい」と意気込む。
「シャンパンガールによるパレードは、もともと海外から始まったカルチャーですが、今やVIP席でもシャンパンオーダーの際の恒例となっており、とても盛り上がる瞬間です。
オクタゴンでは、音楽はもちろん空間演出やVIPでのおもてなしなど、様々なエンターテイメントを提供できるので、幅広いお客様に選ばれるクラブにしていきたいと考えています」
最近のクラブの潮流として、ダンスフロアのほかにVIP専用のスペースを設けるのが主流だ。国内最大級の集客力を誇る渋谷「ATOM TOKYO」や、19時からクラブ営業を行なっている新宿「WARP SHINJUKU」は平日、週末関係無く早い時間から常に賑わいを見せている。
「今後の課題は木曜をいかに盛り上げるか」と話す平松氏は、週末以外に盛り上がる曜日を創出することに注力するという。
「集客力のあるクラブはさておき、基本どこのクラブも木曜の集客に苦戦している。オクタゴンでは、本国の韓国で今流行っている『MOCTAGON(モクタゴン)』を日本でも展開し、木曜日にクラブで遊ぶことをムーブメントにしていきたい。音楽ジャンルもバウンスという常にテンションの上がる曲を中心に、新しいオクタゴン発のブームを生み出していければと思います」
六本木の夜を再び元気に。オクタゴンが企画する今後のイベントや取り組みに注目したい。
<取材・文・撮影/古田島大介>