年間40億PV!「気象予報ビジネス」を変えた震災の教訓
毎時、毎日、毎週の天気や気温、地震、津波、ゲリラ豪雨の災害情報など、私たちの生活に欠かせないのが「気象予報」だ。
その起源は紀元前まで遡る気象予報だが、ビジネスとしての歴史は比較的新しい。日本では1995年に「一般向け気象予報」が国の独占業務から民間に解禁され、現在の市場規模は300億~400億円。近年は、世界的なコンピュータ関連企業であるIBMの参入やAI(人知能)予報の開発など活気づいている。
その潮流を受け、2019年12月10日、天気予報専門メディア「tenki.jp」を運営する株式会社ALiNKインターネットが、東証マザーズに上場した。同社が日本気象協会と共同で運営する「tenki.jp」は年間40億PVを誇る国内トップクラスの気象予報サイト。それを育て上げたのが池田洋人社長(45)だ。
意外と知らない「気象予報ビジネス」
――気象予報ビジネスの解禁当初から業界に身を置いているとか。
池田洋人(以下、池田):何をもって「解禁」とするかは微妙に時期が異なりますが、業界では民間気象会社による一般向け予報 の発表が解禁された1995年を「気象予報ビジネス元年」とすることが多いです。
私が民間気象会社の株式会社ハレックスに新卒入社したのが1997年ですから、確かに気象予報ビジネスが始まった当初から業界に携わっていますね。
――気象予報をどのようにマネタイズしているのでしょうか。
池田:気象予報と聞くと「tenki.jp」やテレビ、ラジオのようなメディアを想像される人が多いかもしれませんが、不特定多数向けに提供する「一般向け予報」以外に、契約などの関係を結んで、その利用者に限って提供する「特定向け予報」があります。
「一般向け予報」は視聴(アクセス)数が多くなる傾向にあるため、「tenki.jp」は、サイト内の広告を主な収益源としています。
一方、当社では登山家向けの気象予報アプリ「tenki.jp 登山天気」をリリースしていますが、こちらは有料(月額240円)です。落雷指数・高層天気図のほか、登山ルートのピンポイントの気象予報など、一般には公開されない情報を登山家用に加工して提供しています。
このように「特定向け情報」は、情報そのものを有料で売ることが一般的です。私たちは登山家というカスタマーに対してサービスを展開していますが、陸・海・空の運送業界や天気によって客足や商品の売れ行きが変化する小売業と契約して、データの情報提供やコンサルティングしている企業も多いです。
とはいえ、「tenki.jp」が2018年に40億PVを達成するなど「一般向け予報」のビジネスも好調です。私個人の考えですが、各企業が展開しているメディア収益などを加えれば、気象予報ビジネスの市場規模は現在よりも、もっと大きくなるのではないでしょうか。